本日夜10時よりドラマ「凪のお暇」(TBS系)がスタートする。主人公は都内の家電メーカーで働く大島凪(黒木華)。いつも人の顔色を伺いながら周囲に合わせることで、日々何事もなく過ごすことを目標にしている“真面目で気が弱く優しい”良い人代表の女性だ。しかし、場の空気を読みすぎて他人に合わせ無理をした結果、過呼吸で倒れてしまった。
「私の人生、これでいいのだろうか……」と自分を見つめ直し、人生のリセットを決意。会社を辞め、住んでいたマンションも解約し、付き合っていた彼氏もろとも、関わっていた全ての人たちとの連絡も絶ち、コンプレックスだった天然パーマもそのままに、幸せになるため人生の再生を図ろうとするというストーリーである。

「凪のお暇 1巻」コナリミサト/秋田書店
原作は、月刊誌「Elegance イブ」(秋田書店)で連載中のコナリミサトによる同名漫画。コミックスは5巻までしか発売されていて、内容はメチャメチャ濃い。かなり実写向きの作品だと思う。
登場人物全員、どこか欠陥がある
ストーリーの中心になるのは、凪、凪の元カレの我聞慎二(高橋一生)、凪が住むアパートの隣人・安良城ゴン(中村倫也)の3人だ。登場人物全員がダメ人間なところがこの作品の特徴である。
凪は「空気を読む」を心がけ、周囲との調和を図る女の子。しかし、空気を読みすぎて思考停止になり、同僚からいいように使われ、最終的に過呼吸になって会社を退職した。ここまでなら同情を禁じ得ないが、実はかなり計算高い性格でもある(それも無意識に)。自分でそれに気付いて自己嫌悪に陥り、お暇の間に変わろうと奮闘する28歳。
慎二は、物語の最重要人物。彼は終始、凪に対する当たりが強い。モラハラと言ってもいいレベルだ。しかし、考えていることと口に出す言葉が違ってしまう不器用さを知ると、不思議と憎めなくなってくる。筆者は彼にシンパシーを覚えている。対するゴンは、あまりにも自由人。魅力的だけど、本気で惚れたら危ない男だ。なんと、人呼んで「メンヘラ製造機」である。
慎二もゴンも、どちらも凪を幸せにできそうもない。そもそも、凪が自分に軸のない依存体質だ。女性本人に問題があるからクズ男やヤリチンを引き寄せてしまう。3人の相関図を見ていて、ちょっと再認識した。

慎二もゴンも、どちらも凪を幸せにできそうもない。不安になる相関図 イラスト/まつもとりえこ
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