ヤフーが子会社アスクルの現社長退任を求めて争いになっている問題で、アスクルは7月22日、ヤフーの主張に再び反論する文書をWebサイトで発表しました。焦点になっている個人向け通販サイト「LOHACO」について、ヤフーは「アスクルに譲渡する考えがあるか意向をうかがったに過ぎない」としていましたが、アスクルは「明らかに虚偽」と指摘、ヤフーがLOHACOの分社化を計画していた経緯について具体的に明らかにしています。

この問題では、ヤフーは連結子会社であるアスクルについて、業績の低迷を理由に岩田彰一郎社長の退任を求め、これに反発したアスクルが資本・業務提携の解消を求めています。
LOHACOについて、ヤフーは7月18日に発表したニュースリリースで、「ヤフーは、アスクルとしてそもそも譲渡をする考えがあるのかの意向をうかがったに過ぎない。アスクルからその意向はないと回答を受けたため、ヤフーとしては今後も譲渡を申し入れる方針はない」と説明しています。
これを「明らかに虚偽」だと主張するアスクルは、その根拠として、(1)2018年11月、ヤフーから派遣されている取締役から、ヤフーへの譲渡の可能性を含めた相談依頼があり、LOHACOを分社化してヤフーの直営としたい旨の説明があった、(2)同取締役から、ソフトバンクの宮内謙社長も交えてLOHACO事業移管について議論をした旨の報告があった、(3)19年1月、ヤフーの川邊健太郎社長からLOHACO事業のヤフーへの譲渡の可能性を検討するよう口頭で依頼があった──といった経緯を具体的に挙げています。

また、岩田社長の退任に賛同する大株主でアスクルの母体でもある文具メーカー、プラスの今泉公二社長が述べたこととして、(1)アスクルの時価総額を上げるためにLOHACOを切り離す案は自分が言い出したこと、(2)ヤフーは、LOHACOを引き取るためには岩田社長が退任する必要があると主張しており、そうであればプラス社として異論はない、(3)ヤフーの川邊社長らからLOHACOを引き取る話を聞いたのは4月か5月くらい──といった内容を明らかにしています。
アスクルは「社長再任に反対する真実の理由は、LOHACO 事業の移管を行いやすくするための社長人事への介入であることは明らか」と主張。ここに至っては「友好的な協業により双方の企業価値向上を企図することなど困難」だとして、ヤフーに対し提携の解消を再び申し入れたとのことです。
アスクルは7月23日、早稲田大学の上村達男名誉教授(商法)から、ヤフーとプラス社はガバナンスを無視しており、「濫用的買収者」に準ずる──などとする法律意見書を取得したことも発表しています。上村名誉教授は、現状の会社法に基づく株式会社のあり方に批判的なことで知られています。
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