言語学専攻の大学院生たちが、典型的な少女漫画のパターンで出会うアカデミックなラブコメ漫画、「アカデメイアロマンティカ」がTwitterで異彩を放っています。ちりばめられたギャグが高度すぎて門外漢にはよく分からないけれど、勢いだけで笑えると評判です。


ヒロインの恒真入(こうしんらむだ)は、竹輪大学大学院の人文社会科学研究科で言語学を専攻する博士課程1年次生。17時からのゼミに遅刻しそうになり、トーストをくわえて大学へ急ぎます。……うん、今のところ時刻と肩書きの長さ以外は、普通の少女漫画っぽいような気がする。



結局遅刻して怒られながら、入は講義を終えて他のゼミ生と雑談。編入生が来ると聞いて、「イケメンのバントゥー諸語研究者だったりして!」と冗談を飛ばしていたところ、本当にバントゥー諸語音声学専門のイケメン、硬口蓋摩擦(こうこうがいまさつ)がやってきてしまいました。彼をひと目見て「twnk(トゥンク)」とときめき、入は「形式意味論が専門です!」と自己紹介。物語を構成する要素がだいぶ高度になってまいりました。
※バントゥー諸語:アフリカの広範囲で話される言語群/形式意味論:言語表現の意味を数学的に解釈し形式的に表そうとする、言語学の分野



ほんのりと2人にいいムードが生まれたのもつかの間、ボーイミーツガールの定番「最悪な第一印象」を形成する出来事が。入が「毛抜きが」と言ったとき、摩擦がその平板型のアクセントを「新潟の方言」「イナカモン」とからかったのです。お〜い、元来はそうなんだろうけど、平板型でしゃべっただけでその言い草は乱暴すぎるぞ!
※三省堂の『明解日本語アクセント辞典』は「毛抜き」の発音について、作中にある尾高型と平板型のどちらもよしとしています


ひどい言われように「硬口蓋くんと仲良くなれる気がしないよ……」と嘆く入に、追い打ちをかけるような悲劇が。彼女が落とした研究ノートを、摩擦がそうとは知らずに読み、「こんな頭でっかちなポエムが研究になるんだから理論研究は……」と切り捨ててしまったのです。





傷つけられた入は、「理論研究と実証研究って……やっぱり……分かり合えないの……?」と悲しむことに。ところが担当教授に呼び出され、よりによって摩擦と共同研究をするよう言いつけられてしまうのでした。2人の専門分野が違いすぎて、素人目には無理がありそうなこの共同研究、そして恋模様はいったいどこに行き着くのか……?





漫画は「専門的すぎて意味が理解できないのに読み続けてしまうワナのような漫画」「セリフの圧がすごい」「話のレベルが高いんだか低いんだかわからない」「昔学んだワードがたくさんで懐かしい」などと、知識の有無にかかわらず幅広い読者から好評を博しました。
そんな同作は、サークル「竹輪大学(@chikuwa_univ)」が「大学紀要」として作っている同人誌「竹輪言語学研究」に連載中。コミックマーケット96で頒布予定の新刊に、最新話が掲載されるそうです。ちなみに、「大学紀要」ゆえ出展場所はいわゆる「評論島」とのこと。なんて懐が深い世界なんだ……。
作品提供:竹輪大学(@chikuwa_univ)
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