トム・ゴドウィンの「冷たい方程式」をオマージュした漫画「温かい方程式」がTwitterのSF好きに好評です。今にも宇宙船から追放されそうな少女の運命は?
※冷たい方程式:宇宙船が密航者のせいで過積載となり、燃料不足などの影響で目的地へ無事にたどり着けない事態に陥る、古典的SF短編。密航者の少女が悲しい最期を迎える結末に対し、似たシチュエーションで密航者を救う方法を模索したオマージュ作品が多く作られており、俗に「方程式もの」と呼ばれる

ある宇宙船内の2つの場面を描いて、物語は始まります。1つは、ロボットをお供に引き連れて追っ手から逃げる男の子。もう1つは「仕方のないことなんだ」と、宇宙船からの追放を宣告される女の子。いったい2人に何があったのでしょう。

男の子はロボットの力を借りて強行突破し、女の子が隔離されていた脱出ポッドへ突入。2人は兄妹で、彼は妹「リル」の追放に反対して船員と争っていたのでした。

そんな彼らの前に1人の船員が現れ、「リルがかかった伝染病『ゴドウィン病』は現在の医学では治せない」「ほかの人へ感染する前に宇宙船を出てもらうしかない」と、あらためて説明。男の子はそれならば妹と運命をともにすると、覚悟を口にしました。
すると、船員は意外にも「我々がそれほど非情な人間に見えたのかい」と不本意そうな様子で、兄妹を救うための方策を語ります。ゴドウィン病は不治の病だが、100年後の医学ならば治せるはずだと。

船員は相対性理論を挙げて、「移動速度が光速に近づくほど時の流れは遅くなる」と説明。これを応用し、兄妹の乗るポッドを最高速度で移動させ時間の経過を遅らせる一方で、母船は治療法を研究しつつゆっくり移動するというのです。研究に100年かかったとしても、兄妹が経る時間はたった1年。つまり彼らは1年待てば、じっくり時間をかけて治療法を持ってきた母船に救われるわけです。

「また1年後、しばしのそして遙かな別れだ」――別れの言葉を残し母船が去るシーンで、漫画は締めくくられました。リプライでは、「方程式ものでこんなにも心温まる作品があるとは……」「泣きそうになった」と、感慨にふける人が多くみられます。
作者の猫オルガン(@applebeesong2)さんは、TwitterやInstagramでイラストや漫画を公開中。読後に味わい深い余韻の残る、ペーソスな作風が魅力的です。
作品提供:猫オルガン(@applebeesong2)さん
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