スーパーファミコン版「ドラゴンクエストVI 幻の大地」が発売された1995年12月、親にねだるのが恥ずかしくて、雑誌のプレゼントが当たるよう願をかけた――。そんなクリスマスの思い出を描いた漫画がTwitterで好評を博しています。作者は漫画家のあさのゆきこ(@YUKIKOASANO)さん。

ドラクエVIの発売当時、あさのさんは中学2年生。定価1万円以上のソフトには手が届かず、かといっておもちゃを親にねだるのはなんとなく恥ずかしいような、微妙なお年ごろでした。それでも欲しくてたまらない様子を見て、お父さんが「そのドラクエとかいうの、はやってるんか?」などと話を振ってくれたりもしたのですが、気恥ずかしさからか「気にせんといて」と遮ってしまいます。

そんな彼女が望みをかけたのが、毎月購読していた『Vジャンプ』のドラクエVIプレゼント企画。1枚しかない応募券を大事に大事にハガキへ貼り、祈りを込めて投函します。そして、「がんばっていれば神様も感心して当ててくれるはず!」と信じ、大好きな漫画もゲームも断って勉強にいそしむのでした。

しかし、けなげな願いはむなしくも届かず、プレゼントは当たりませんでした。仕方なく、あさのさんはVジャンプの情報をもとにイラストを描いたり、作中のBGMを妄想したりして、満たされない思いを埋める日々を送ります。

そうこうしているうちに、1995年もクリスマスに。そこには最高のサプライズが待っていました。これまで娘の挙動を無言で見守っていたお父さんが、「ドラクエVIてこれでエエんか?」と、念願のソフトを手渡してくれたのです。あまりのうれしさに号泣し、夢中になってプレイするあさのさん。祈りも頑張りも、確かに届いていたんですね。

「お父さんナイス」「本物のサンタさんだ!」「これが真のユア・ストーリー」など、漫画は多くの感動する声を呼びました。「ゲームを買うために家の手伝いをがんばってお小遣いをためていたら、ある夜お父さんが買ってきてくれた」と、似た経験を語る人もみられます。
作者に当時のことを聞いたところ、品薄だったであろうドラクエVIをお父さんがどうやって手に入れたのか分からなかったとのこと。また、禁欲して勉強したにもかかわらず、成績はいつもと変わらず、自分にがっかりしたのだとか。ちなみに、一番好きなドラクエを聞いたところ、「VIと答えたいのですがVです(笑)」とのことでした。まあ、それはそれ、これはこれ。
あさのゆきこさんは12月13日、『はんなりギロリの頼子さん』(webコミックぜにょん)の、約4年半に渡る連載を完結。6巻まで出ている単行本の続きは、2020年3月予定とのことです。
作品提供:あさのゆきこ(@YUKIKOASANO)さん
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