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喫茶店の初老のマスターが語る、若い頃のラブロマンス。ですが切ない恋のお話は、思いもよらぬ方向へと転がり始め……。ラストシーンで背筋が凍る、巧みな怪奇譚をつづる漫画が話題となっています。

作者はマツダミノル(@MATUDAMINORU)さん。Twitterにて創作漫画を精力的に投稿されています。
港町の喫茶店を切り盛りする初老のマスター。彼はネタ出しに悩む小説家へ「参考になれば」と、自身の若いころにあった恋のお話を聞かせます。

ある日から毎日のように店を訪れていた、若く美しい身重の女性。マスターは彼女に恋心を抱きますが、やきもきしているうちに彼女は別れを告げ、街から去って行きました。彼女の名前も聞けないまま、その後は二度と会うこともなかったと言います。

後日談はないのかと尋ねる小説家に、マスターは語り始めます。彼女が街から去った次の日のこと。買い出しに出たマスターは、「気味の悪い魚が揚がった」とざわつく漁師たちに出会います。見た目からして奇妙なその魚のお腹には、みっちりと卵が詰まっていました。それを見たマスターは、しばらく考えた後「その魚を譲って下さい」とお願いするのです。

街を去った美しい女性と、その次の日に揚がった奇妙な魚。どう考えてもつながる話ではありません。いぶかしがる小説家をよそに、マスターは語り続けます。
とても美しい魚で捨てられるのが惜しかった、卵だけでも孵化させられないかと試してみた、難航したものの3匹は孵化してくれた……。マスターは稚魚の外見をこう語ります。「まるで彼女のように美しかった」と。

マスターが一体何を話しているのか、それは最後に明らかとなります。1度目はラブロマンスが変貌していく恐怖を味わい、2度目には随所に散りばめられた違和感に気付くことでしょう。ぜひ何度か読み返し、昭和の怪奇譚を彷彿とさせる物語を堪能して下さい。
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作品提供:マツダミノル(@MATUDAMINORU)さん
(たけしな竜美)
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