「哲学」に抱くイメージと言えば、おそらく「難解でよくわからない」ではないでしょうか。この哲学という、小難しい印象が先行しがちな学問のあり方について、とても分かりやすく解説した漫画が話題となっています。

作者は漫画家のさく兵衛(@sakubetaro)さん。マンガサイト「コミチ」で、エッセイ漫画や創作漫画など作品を多数公開しています。
学生時代に哲学を専攻していたさく兵衛さんですが、当時は哲学がまったく理解できなかったといいます。その中で強く記憶に残っている、哲学に興味を持つきっかけになったのは、ある日の授業における出来事でした。



それはある男子生徒と哲学の先生のやり取りでした。人間は努力するべきだ、と答えた生徒に対し、先生は何か引っかかりを覚えたようです。次に先生は「つまり君は、生きている限り何かしらの努力をしなくてはならない、そう思っている?」と尋ね、生徒は「努力しないよりはした方がいいと思います」と返します。
ここから男子生徒は「怠惰は悪か」「なぜ人間に生きがいが必要なのか」と問いかけを繰り返していきます。質問攻めにされる様子はかわいそうになるほどだったとさく兵衛さんは振り返ります。



その様子を見ていたさく兵衛さんは、ふと先生の意図を感じ取ります。先生は生徒たちが漠然と受け入れ、正しい常識だと思い込んでいる「固定観念」を打ち壊したかったのではないだろうか。そして自身の意見を再構築させようと、あえて質問攻めにしていたのではないかと。
さく兵衛さんによれば、哲学とは「何かを自分なりに考え抜いて答えを構築し、議論を重ね、答えを壊しては固め直す学問」。なんとも不毛な学問に見えますが、それでも「哲学を学べば学ぶほど、なんとなく常識に思っていたものは脆いものである、と気付かせてくれる」のだそうです。



作中でも触れられている通り、かの天才科学者アインシュタインも「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」と言葉を残しています。さく兵衛さんもまた「この教授と出会い哲学を学んだことで、少しだけ常識という重りが軽くなった」と感じたと結んでいます。
漫画には、哲学を学んでいた人からの同意の声や、哲学の奥深さに感心するコメント、哲学を学びたくなったといった反応が寄せられています。
作品提供:さく兵衛(@sakubetaro)さん
(たけしな竜美)
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