3月24日にIOCとの合意がなされ、1年程度の延期が確定的となっている東京オリンピック・パラリンピック。選手・観客への対応や経済損失が案じられる一方で、歴史的には“縁起が良い”という見方もできるようです。
古代ギリシャについて研究する藤村シシン(@s_i_s_i_n)さんは、専門家の視点から興味深い知見をツイートしています。
第1回古代オリンピックから数えると2021年が本来の「4年に1度」の年であり、そのうえ古代ギリシャの暦では記念すべき700回目のアニバーサリーにあたるといいます。
藤村さんは、NHK生放送内でオリンピック採火式の古代ギリシャ語を同時通訳したほどのその道の権威。
ツイートによれば、古代オリンピックと近代オリンピック(夏季)の開催年には、これまで1年のズレが生じていました。
第1回古代オリンピックが開催された年は紀元前776年。その後、一旦の断絶を経て、近代オリンピックとして再開されたのが紀元1896年です。数字の上では「776」も「1896」も4の倍数であり、一見すると違和感は覚えません。
しかし、紀元前1年の翌年が紀元1年になる(西暦0年が存在しない)関係で、断絶なくオリンピックが執り行われていた場合、本来の開催年は「紀元4x+1年」。すなわち2020年ではなく2021年こそ、古代ギリシャから続くオリンピックイヤーにあたるのだとか。

さらに藤村さんは、2021年は「とてつもないキリ番」の年であるともツイート。
古代ギリシャでは、オリンピック開催周期を1サイクルとする暦の単位「オリンピア紀」が用いられていました(1オリンピア紀=4年)。第1回古代オリンピックが開催された紀元前776年から数えると、2021年夏は第700回目の開催タイミングであり、記念すべき700オリンピア紀がスタートするアニバーサリーです。
延期どころか東京開催が決定する以前から、“700オリンピア紀”の到来を心待ちにしていた藤村さん。ブログの過去記事をたどると、10年以上前から言及していることがわかります。

2009年5月のブログより
編集部の取材に対し、藤村さんは「延期自体は大変なことですが……」と前置きしたうえで、古代ギリシャ研究家の立場から以下のようにコメントしています。
7はアポロンの聖なる数であり、古代ギリシャでも超ラッキーナンバー。今回の700オリンピア紀は古代ギリシャ人が生きていたら一番見たかった時代の競技祭だろうなと思います。777オリンピア紀はもっと縁起がいいですが、309年後なので、そこは未来の人に頑張ってほしいです。700オリンピア紀の記念すべきオリンピア競技祭、なんとか無事に開催できることを願っています。
藤村シシンさんは、2020年3月26日20時から放送のラジオ番組「アフター6ジャンクション」(古代オリンピック特集)に出演を予定しています。

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