「日赤医療センター医師からの依頼です。拡散してください」と日本赤十字社医療センターの医師名をかたり、COVID-19(新型コロナウイルス感染症)についての真偽不明の情報を拡散する「チェーンメール」が出回っています。日本赤十字社医療センターは、「本件内容は当センターで発信したものではございません」とのコメントを発表し、注意を呼び掛けています。

日本赤十字社医療センターのコメント(公式サイトより)
問題となっているのは、「広尾の日赤医療センター医師からの依頼です。拡散してください」との文言で始まるメッセージで、「この数日でコロナウイルス感染症の患者さんが急増しています」「現場ではすでに医療崩壊のシナリオも想定され始めています」「正直、報道よりも一般のみなさんが思っているよりも、現実は非常に厳しいです」と不安をあおるような言葉が並んでいるのが特徴。4月初旬からSNSを中心に拡散されています。
このチェーンメールにはいくつかのバリエーションが存在しており、ねとらぼ編集部の調べによると「静岡、日赤病院のドクターから送られてきたラインです」「日赤医療センタードクターママからきました」「今、東京の日赤総合病院で働いていますが、この数日でコロナウイルス感染症の患者さんが急増しています」といった文言から始まるものも確認できました。いずれも内容は同じようなもので、不安感をあおる文言の後に「外出を控えてください、人と会わないでください。感染を食い止める方法はこれしかありません」といった内容で締めくくられています。

編集部員が入手したチェーンメールの一種

中には焼津市議が「知り合いの医師から来たメールです」と投稿したり、狛江市議が「医療現場から『拡散のお願い』に協力しております」と投稿するなど、政治家がネットで拡散するケースも見られました。
しかし日本赤十字社医療センターは4月10日に院長名義で「本件内容は当センターで発信したものではございません」とのコメントを公式サイトに掲載。情報が拡散されている旨の問い合わせが多数寄せられていて、「本来業務に多大な支障をきたしております」「本件へのお問い合わせはご遠慮いただきますようお願い申し上げます」とつづっています。
またこれ以外にも実在の病院名と実在の医師名をかたってCOVID-19に関する注意喚起を行うチェーンメールも複数確認されましたが、緊急事態宣言に伴う休業要請の関係で該当機関の広報部に取材することはできず、真偽は不明でした。
COVID-19に対する危機感が高まっている今、親切心がきっかけで誤った情報を拡散してしまう可能性もあります。拡散ボタンを押す前に情報発信元を確認するなど冷静な対応が求められます。
(Kikka)
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