「テレフォン人生相談」(ニッポン放送・月〜金曜11時〜)先週のハイライト。今回ピックアップしたのは4月10日(金)放送の今井通子パーソナリティー回。
人生相談の定番・遺産相続に関する相談。ただし、母親はまだ健在なのだ。

お袋の貯金は3人で分ければいいよな?
相談者は60歳女性。兄66歳。妹59歳。母88歳。父親は既に他界している。
「お母さまが亡くなったの?」
「いや、まだ88で、施設に入っております」「もし、母が死んだ場合の時の……遺産っていったらおかしいんですけど」「貯金とか、生命保険とかが少し残るので、兄が『3人で分ければいいよね』って言うんですけども……」
母親がまだ死んでもいないのに兄妹で遺産の配分について相談しているという、若干モヤッとする話ではあるが、後々揉めないためには重要なことなのだろう。兄妹仲良く分けるのならば問題もないかと思いきや、相談者は不満を持っているようだ。
「兄は30数年前に家の商売を継いで、その時、約1億円の借金背負って。母が……持ち家とか(祖父などの家も含め)2〜3軒あったんですけれども」「それを全部売って、あと残り5千万を母が、ずっと10年がかりくらいで返したんですね。兄は一銭も返してないです」
さらに「(相談者いわく)いろいろ遊びほうけて借金作ったのも親が返していた」とのこと。
「3年くらい前に(兄が)うちに電話よこして。その時はまだ母が施設に入る前だったんですけれど、『お袋の貯金あるだろ、それを3人で分ければいいよな』っていうからすごく腹が立って」
貯金があるといっても、母親が入所している施設の料金が年金だけではまかなえず、貯金から月に5〜6万円を切り崩して支払っているという。
「でもお母さまもあれなんでしょ、まだご存命で、すぐに亡くなるようなお話しじゃないんでしょ?」「お母さまがお持ちの財産って、単位でいうと何千万なの? 何百万なの?」
「いやいや、ほんの100万円単位で、それもいくら残るか。母が長生きすれば、施設に全部お金使ってしまうので」
貯金の他に生命保険もあるとはいえ、兄が肩代わりしてもらった借金1億円に比べるとささやかな額しか残らなそうだ。そのわずかな遺産すらキッチリ分けてもらおうとしている兄に怒り心頭なのだ。
ちなみに、妹は結婚して遠くに住んでいるため、1〜2年に一度、母親の顔を見に来る程度の交流しかないという。

「で、アナタと妹さんが(遺産を)分ける分には構わないのね?」
「うん、まあそうですけど……はい。兄にはもともとやりたくないので」
「それとも妹さんにもあげたくない?」
「まあだって、そんなに何千万もあるんだったら別にアレですけど。ほんのいくら残るか分からないし……」
施設に入る以前から母親の面倒は相談者に押しつけられており、その負担を考えれば、わずかな遺産くらい自分が受け取ってもいいのでは? というのが相談者の本音のようだ。
しかし、遺産系の相談でよく出てくる「遺留分侵害額請求」という制度があり、たとえば「相談者に遺産を全て渡す」という遺言が残されていたとしても、兄と妹には「遺留分」として遺産の2分の1を兄妹3人で割った6分の1ずつを請求する権利があるのだ。
相談者は友達から「お兄さんがそうやって1億円も借金背負ってお母さんが返したんだから、もう取り分ないんじゃないの? テレビとかで聞いたことあるよ」と言われたという。
果たして、兄に母親の遺産を渡す必要はあるのだろうか?
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