
(C)Take 2020
ウザくて、かわいくて、SUGOI DEKAI! 「宇崎ちゃんは遊びたい!」(原作/アニメ)は、マイペースで一人の時間が好きな桜井真一(さくらい・しんいち)と、彼にまとわりついてくるキュートだけどちょっとウザめの後輩宇崎花(うざき・はな)の、ニヤニヤな距離感を楽しめるキャンパスコメディーです。
スタートした第1話から、宇崎ちゃんの猛攻は全力全開。ラッキースケベもエンジン全開です。

(C)2020 丈/KADOKAWA/宇崎ちゃん製作委員会
1話だけで分かる宇崎ちゃんの「ここがかわいい」
宇崎ちゃんは裏表がほぼ完全にない、考えたらすぐ表に出ちゃうタイプの子です。だから1話時点で彼女の魅力出まくり。「ウザい」というマイナス要因の言葉を「かわいい」にするほどのパワーの源を探ってみます。
1:全身でのアタックが多い
タイトルのように、宇崎ちゃんは「先輩と遊びたい・遊んであげたい」という行動理念で動いています。そのアプローチ方法は人それぞれあると思いますが、宇崎ちゃんは全身を使って、かなり強引に押してきます。

なぜその体勢で行った(1話) (C)2020 丈/KADOKAWA/宇崎ちゃん製作委員会
とにかくよく動く。余計なこともどんどんしてしまう。2人が高校時代水泳部だったからそこそこ体力があるというのもあるのかもしれない。でもそういうのと別次元の絡み方を、身体全体で行ってきます。人前でもおかまいなしです。桜井をロックオンしたら周囲が見えなくなる節があります。
遊んでいるとき自分だけ見てくれる女の子……かわいいですね。
2:悪気ゼロ
宇崎ちゃんは言動全てが本性フルオープン。だからこそ彼女のやらかしが全く悪意がないことが分かるので、反省したら許せちゃう。1話だと2人でラーメン屋に行ったとき、桜井が頼んだから揚げをごく自然に全て食べかけていた、という恐るべき無自覚行動を見せていました。

無自覚(1巻) (C)Take 2020
さすがにこれは怒られる。ただ「先輩のを盗み食いしてやろう」とか「いやがらせしよう」という意図がないのが分かっているから、見ていて笑えます。そうじゃなかったら、から揚げにレモンかけるかどうか論争以前の超断罪案件です。
宇崎ちゃんは無自覚ゆえに、人の心にズケズケ土足で踏み入ることも多々あります。映画を一人で見に行っていた桜井に対して、宇崎ちゃんは大笑い。「一人映画とかぶふぉっ! あははは 一人焼き肉や一人回転寿司に匹敵する、ぼっちプレイの最たるものの一つじゃないッスか!」映画館のモブも、視聴者をもイラッとさせる彼女の攻撃力。映画を一人好きなようにじっくり楽しむスタイルを知らない、多様な価値観の欠如ゆえの発言ですが、宇崎ちゃんこれ「先輩のぼっちを救ってあげよう!」というポジティブな気持ちで言っているだけなので、本当に悪気がない。

まるで子犬(1巻) (C)Take 2020
「尾を振る犬はたたかれず」とはよく言ったもので、純粋に先輩を構い・構われるために追いかけているので嫌みが嫌みとして聞こえず愛らしさが残ります。ムチャをすることは多くても、「先輩と一緒に遊びたい」という思いが最優先事項の真実なのは変わらないので、どうにも憎みきれません。
3:SUGOI DEKAIキャラクターデザイン

一見しゃれてるから困る(1話) (C)2020 丈/KADOKAWA/宇崎ちゃん製作委員会
宇崎ちゃんはめちゃくちゃ背が小さいです。先輩と並ぶと、頭の天辺が肩より下なくらい。そのため彼女の行動はかなり子供っぽさを感じさせます。ただそこだけだとガキンチョ感、保護対象感が強めになっています。
ただし宇崎ちゃんは、SUGOI DEKAI。でかすぎるくらい。ラグランシャツとリュックのラインが隠れる効果により、そのでかさはさらに強調されています。しかもDEKAI人が着るとラインのゆがみでDEKAさが倍増しに見える縦ラインセーターも着用。
その一方でいわゆる「乳袋」と呼ばれるタイプの胸の形を強調する服や露出の高い服は着ていません。セーター、ラグランシャツ、パーカーなど、ダボッとした衣装を好んで着ます。胸の大きい女性の悩み「服を着ると太って見える」がうまくフォローされており、それでいて小物でSUGOI DEKAIを表現されているので、そこまで下品にならない。
これによってある程度成長した大学生らしさも垣間見えるようになるという、絶妙なバランス。高校生時代はセミロングで「少女感」があったのに対し、大学時代はボーイッシュなショートカットで垢抜けているのも、ナイス。
ちなみにムービックから「SUGOI DEKAI」の文字が背中に入っているパーカーが発売中です。
宇崎ちゃんと桜井先輩の構図

1話の主役は完全に桜井です(1巻) (C)Take 2020
原作ファンだったら、1話序盤かなり驚いたことだと思います。元は桜井が完全に主人公で「ウザい後輩が絡んできて困る」という構図だったから。ところがアニメではゴリゴリの宇崎ちゃん視点。ぼっちな先輩をかまってあげよう、という彼女の思いやり的決意がどういう流れで起こったのかを丁寧に描いています。

観察期間の長さがすさまじく長い(1話) (C)2020 丈/KADOKAWA/宇崎ちゃん製作委員会
原作だとまだ後の方に出てくる高校時代の回想まで含められ、春夏秋冬1年間、宇崎ちゃんは桜井が一人で過ごしているのを観察しています。1年間声をかけず気に掛け続けていたって相当なものです。
桜井も本当は「ぼっち」なわけじゃなくて、一人でいるのが好きなだけ。でも客観的な宇崎ちゃん目線で描かれたことで、孤立感が目立つようになりました。ここはアニメでこだわりのバランスになっていきそうです。

宇崎ちゃんと桜井の基本構図(1話) (C)2020 丈/KADOKAWA/宇崎ちゃん製作委員会
アニメ1話では、右側に宇崎ちゃん、見下ろすように左側に桜井、というレイアウトが増えています。
絵では右側にキャラクターを置くと「押す・攻める」、左側に置くと「引く・受ける」性質を表現しやすくなります。左側から「押す」と「逆流」的な見え方になりやすい。
宇崎ちゃんは押して押して押しまくるキャラなので、この構図によって彼女がぐいぐい押してくる空気感が飲み込みやすくなっています。この作品は2人の距離感と関係性がメインなので、今後2人で並んだ場合どういうレイアウトになるのかは注目したいところです。

KUSO CAT(1話) (C)2020 丈/KADOKAWA/宇崎ちゃん製作委員会
ちなみに。欠かせないのが「KUSO CAT(キャラクターの名前)」の存在。今回いきなり出まくりました。原作ではこんなに出ないよ! ようは「お前らイチャイチャしやがってコノヤロウ!」という嫉妬を見せる猫キャラクター。目が死んでいる。視聴者の気持ちを代弁してくれる存在で、どちらかといえば概念的なものなんだろうか? ちょっと不明です。
ただ2人のイチャイチャがほほえましすぎてニヤニヤが止まらん! という人もめちゃくちゃ多いハズ。そんな人のために、共感できるであろうキャラも今後出てきます。さあ全力で嫉妬したりニヤついたりする準備はできたぞ!
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