漫画家・藤岡拓太郎(@f_takutaro)さんが投稿した漫画「聞こえにくい映画とお笑いの話」が大きな反響を呼んでいます。映画とお笑いが好きな藤岡さんですが、聴覚障害の1つ、音が歪んで聞こえてしまう感音性難聴のため、字幕なしで楽しむことはできません。※難聴にはいくつかの種類があります(日本補聴器販売店協会より)

コンテンツを楽しむために必要なのが字幕
多くの人が注目した「聞こえにくい映画とお笑いの話」
藤岡さんは漫画で映画・お笑いの字幕事情について説明しており、DVD化された多くの日本映画では、字幕付きの作品はまだまだ少ない状況であると伝えています。近年では、WOWOWや日本映画専門チャンネル、Netflixなどで放送・配信される日本映画には字幕が付くようになりました。

音が歪んで聞こえる感音性難聴。藤岡さんは「世の中の人みんなが滑舌が悪い人、という感じ」に聞こえるそうです
藤岡さんは、字幕には人物のセリフのみの日本語字幕と、セリフ以外の重要の音もフォローするバリアフリー字幕(聴覚障害者対応字幕)の2種類があるとし、新作ソフトの発売や再発売の際にはバリアフリー字幕でも収録してほしいとコメント。

セリフ以外の音も重要で、聞こえないために作品の受け取り方が大きく違ってしまう可能性が
また、映画館で上映される日本映画で字幕付き作品は、昔に比べては増えてはいるもののまだまだ一部で、「封切から2週間後」や「期間は長くて3日間」「朝イチの回のみ」など、上映期間や時間も限定的。一部の劇場で貸し出されている字幕メガネは、藤岡さんにとっては使いづらかったようです。

字幕付きでの上映は限定的
高校時代、初めてテレビでダウンタウンを字幕付きで見て感動した藤岡さん。2021年3月現在、多くの番組に字幕が付くようになったが100%ではないと言います。そして、お笑いDVDはサンドウィッチマンが2012年以降リリースしたもの以外はほとんど字幕がない状態で、コロナ禍で増えた配信ライブに至っては「ほぼ皆無」とのこと。

2001年、藤岡さんが小学校6年生だった頃は、字幕がついたのはアニメ「ドラえもん」やNHKの朝ドラや大河など一部だったそう
藤岡さんはバリアフリー化が対応がなかなか広がらない理由の1つとして、作品を楽しむ際に障害を感じている人の声が作り手側に届いていない実情を上げています。そう考える背景には、藤岡さん自身も「ALS」(筋萎縮性側索硬化症)の友人のために電子書籍化を求める人の声に答え、作品の電子書籍化を決定した経験がありました。
映画やお笑いから刺激を受けて漫画を描いてきたという藤岡さんは、漫画の最後を日本の映画やテレビにバリアフリー字幕を付けるべく奮闘してきた人への感謝でしめくくっています。
漫画には当事者や難聴の家族がいる人から共感の声が多く寄せられていました。一方、漫画を通じて難聴の人が感じていた困難に初めて気づき、衝撃を受ける人も。漫画をきっかけに配信する動画に字幕を表示させたり、面白いと思った映像に字幕がついたりするように掛け合ってみようと思う人も現れています。
字幕制作者にとっては、仕事の意義が感じられる内容だったそう
テレビ番組の字幕制作者からもリアクションがあったようで、漫画「きこえにくい映画とお笑いの話」の波紋が、大きく広がっている様子がうかがえます。
※作品提供:藤岡拓太郎さん
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