男子フィギュアスケートの羽生結弦選手が3月11日、東日本大震災の発生から10年を迎え、公益財団法人日本スケート連盟を通じてコメントを発表。宮城県仙台市出身の羽生選手は震災発生時、同市内の「アイスリンク仙台」で練習中でした。
羽生選手のコメント

「何を言えばいいのか、伝えればいいのか、分かりません。あの日のことはすぐに思い出せます。この前の地震でも、思い出しました」と当時の記憶が鮮明に残っているという羽生選手。
「10年も経ってしまったのかという思いと、確かに経ったなという実感があります」とオリンピックやフィギュアスケートを通じて被災地の住民と交流を持ってきた10年間を振り返ると同時に、「皆さんの力にもなりたいですけれど、あの日から始まった悲しみの日々は、一生消えることはなく、どんな言葉を出していいのかわからなくなります」と被災者が抱えるあまりにも大きな悲しみに、適切な言葉が見つからないことを正直につづっています。
それでもこの10年間、震災について多くのことを考え、気づきを得てきたという羽生選手は、「最近は、あの日がなかったらとは思わないようになりました」と心境の変化を告白。
「きっと皆さんは、想像を遙かに超えるほど、頑張ってきたのだと、頑張ったのだと思います」「すごいなぁと、感動します。数えきれない悲しみと苦しみを、乗り越えてこられたのだと思います」と被災者が積み重ねてきた努力の日々をたたえており、「幼稚な言葉でしか表現できないので、恥ずかしいのですが、本当にすごいなと思います。本当に、10年間、お疲れ様でした」とねぎらいの言葉を贈っています。

10年という節目には、「何かが急に変わるわけではないと思います。まだ、癒えない傷があると思います。街の傷も、心の傷も、痛む傷もあると思います」と思いをつづった羽生選手。現在も震災と戦い続ける被災者に向けて、「簡単には言えない言葉だとわかっています。言われなくても頑張らなきゃいけないこともわかっています。でも、やっぱり言わせてください。僕は、この言葉に一番支えられてきた人間だと思うので、その言葉が持つ意味を、力を一番知っている人間だと思うので、言わせてください」と心配りの行き届いた前置きとともに、「頑張ってください」と真っすぐにエールを届けていました。
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