ひとりぼっちでいるのが楽しかった日々が、優しい先生の気配りがもとで終わってしまった――。孤独を好む少女の複雑な思いを描く漫画が考えさせられます。作者は漫画家のハミ山クリニカ(@kllinika)さん。

主人公の三木ハルカは、中学2年生の女の子。特に仲が良い友人もいなければ、誰とも仲が悪いこともなく、独りで趣味にふける学校生活を送っていました。お気に入りは読書と窓の外をぼんやり眺めることと、少し昔のバンドの音楽。
成績が良くて担任教師からの覚えもめでたく、平穏に楽しく暮らす毎日。しかし林間学校の班分けを決める日に、波乱が訪れます。「人数が足りない班にでも入れてもらえばいいか」と消極的に振る舞っていたら、担任が「三木さんが1人で寂しそう! ちゃんと仲間に入れてあげましょう!」と気を回したのです。

優しく誘われて、ハルカはクラスメイトの輪へ。先生の目には、孤独な子がみんなと打ち解けたように見えたことでしょう。しかし、ハルカにとって、その親切はあだとなりました。「孤高で気楽でかっこいい自分」が、先生の気配りによって「ずっと寂しかったかわいそうな三木さん」に上書きされてしまったのです。


それでもハルカの暮らしは変わらず、独りで過ごす毎日。しかし、なぜか孤独な自分がみじめなような気持ちがして、大好きだった「キラキラした自分」は、二度と感じられなくなってしまったのでした。
先生に悪気はなかったのでしょうが、「孤独が好き」「あえて孤独でいたい」気持ちが伝わらないのももどかしく、モヤモヤするこの漫画。Twitterでは「単に読書好きで図書室に入り浸っていたら、『人付き合いを避けている』と心配された」「孤独でクールなキャラを装っていたのに、先生の親切がもとで『ぼっちのかわいそうな子』になった」など、似た体験が寄せられています。
作品提供:ハミ山クリニカ(@kllinika)さん
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