「のぞみ」「ひかり」「こだま」といえば、東海道・山陽新幹線の列車名ですね。

ところで、なぜ列車に名前が付いているのでしょうか? それぞれの列車が分かりやすくなるからです。名前を付けなくても、列車には固有の番号が与えられて内部では正しく管理されています。「列車番号」(関連記事)です。
列車名の有無で会話はこうなります。
列車名がなかったときの会話
「こんどの出張、"東海道新幹線の各駅停車"で名古屋にいくよ」
「えっ、うそだろ各駅停車なんて、"いちばん早いヤツ"のほうがラクでしょ。せめて"ちょっと早いヤツ"がいいでしょ」
「いやー、のんびり各駅停車で、グリーン車だと安いきっぷがあるし」
列車番号しかなかったときの会話
「こんどの出張、"723A"で名古屋にいくよ」
「えっ、うそだろ各駅停車なんて、"227A"か"31A"のほうがラクでしょ。せめて"511A"がいいでしょ」
「いやー、のんびり各駅停車で、グリーン車だと安いきっぷがあるし」
列車名がある会話
「こんどの出張、"こだま"で名古屋にいくよ」
「えっ、"のぞみ"のほうが早く着くじゃないの、せめて"ひかり"でしょ。」
「いやー、のんびり各駅停車で、グリーン車だと安いきっぷあるし」
列車名がなくても会話できちゃいそうですが、やはり列車名があると自然です。列車番号では普通の乗客にはさっぱり分かりません。いや、これも鉄オタは分かってしまうかもだけど(笑)。
でもこれが「きっぷの表記」や「駅の発車案内」だと、列車名がないと不都合が出てきます。列車名があるおかげで、「のぞみに乗る」といえば東海道新幹線だし、「はやぶさに乗る」といえば東北新幹線、「こまちに乗る」といえば秋田新幹線の列車だと分かります。ちなみに新幹線の場合「のぞみ○○号」の○○の部分は列車番号の数字が入ります。
前置きが長くなりましたが、今回は「リニア中央新幹線の列車名」が何になるのか、楽しく予想していきます。まずは新幹線「列車名」の由来やひみつを探っていきましょう。

東海道新幹線の列車名は「光速」「音速」が由来
1964年に東海道新幹線が開業したときの列車名は「ひかり」と「こだま」でした。速さの象徴である“光速”から「ひかり」、“音速”にちなんで「こだま」です。列車名は公募を参考に決まりました。得票数1位は「ひかり」、2位は「はやぶさ」、以下「いなずま」「はやて」「富士」と続きます。「こだま」は10位でした。
「こだま」は東海道新幹線が開業する前、東海道本線で誕生した電車特急の名前でした。東京〜大阪間を7時間前後で結び、初めて日帰りを可能にしました。1日で行って帰ってこられるから「こだま」。東海道を代表する列車名と、日帰りできるイメージが良く、「光」と「音」の関係性で東海道新幹線の各駅停車は「こだま」になりました。

実は「ひかり」という列車名も初登場ではありません。「ひかり」は戦前に満州鉄道の急行列車として走っていました。戦後は1958(昭和33)年に、九州島内で初の急行列車として誕生しました。当時はまだ珍しかったディーゼルカーの最新型を採用し、運行区間は博多〜小倉〜別府間でした。その後運行区間が延長され、博多〜小倉〜別府〜熊本、門司港〜小倉〜別府〜西鹿児島(現・鹿児島中央)の列車となります。
「ひかり」は九州を代表する急行列車でした。しかし東海道新幹線の最速列車として“出世”していったので、残された急行列車の名前は西鹿児島発着便が「にちりん」、熊本発着便が「くさせんり」になりました。
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