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接客業で働いた経験のある方ならば、特徴的なお客さんを自然と覚えてしまう、という感覚を理解できるのではないでしょうか。今回ご紹介する作品は、ファミレスを訪れる謎の老人に深入りした店員が、予想だにせぬ結末を迎える……実に奇妙な物語が描かれています。

深夜のファミレスで働く女性。彼女は無為な日々を過ごすうち「私はなんで生きているんだろう。こんな嫌気がさす世界も生活も、全部なくなっちゃえばいいのに……」と、ある種の破滅願望を抱くようになっていました。
彼女の働くお店では、深夜の時間帯になると、いつも同じ場所におじいさんが座っています。同僚にけしかけられた女性が、なかばヤケ気味に声をかけると、想像を超える出来事が起こったのです。



「キミが話しかけてきてくれて嬉しいよ」。そう言葉を発したのはおじいさんではなく、おじいさんの服の中から現れた“ウサギ”でした。
驚いた女性は声を上げましたが、どういう訳か誰もそれに気が付きません。ウサギは「平気だよ、誰も僕らを気に留めないから」と言い、次いで女性へ問いかけます。「キミはどうしておじいさんを気に留めたんだろうね」と。
質問を受けてうろたえる女性に対し、ウサギは言葉を重ねます。「全ての物事には意味がある」「だから聞いてほしい、どうしてここにおじいさんが座っているのか」と。


ウサギは語ります。雪山で遭難した男が、死の間際で見つけた「異様な椅子」。それに座ると元気になるが、椅子を離れると死の間際へと引き戻される……男は椅子に座り続けるしかなかった……。
男は仕方なく空想をはじめ、その夢が広がり世界が構築され……それから気が遠くなるような時間の果てに、男は心をどこかへ落としたものの、今もこうやって雪山で座っていて、それでも世界は続いているのだと。
あっけにとられる女性を前に、ウサギはこうも語ります。「それもどうやら終わりみたい、潮時だよ。男が紡いだ世界は失敗だったんだ」と。そして……。
ウサギとおじいさんが女性の前に現れた理由と目的、女性を待ち受ける数奇な運命。待ち受ける結末は、漫画を読み進めてお確かめください。
作者は漫画家の兎屋まめ(@usayamame)さん。現在連載中の『妖の運び屋(Nemuki+)』と『黄昏ヘンテコ奇譚(ソノラマプラス)』の単行本が、2021年8月6日に発売予定です。
作品提供:兎屋まめ(@usayamame)さん記事:たけしな竜美(@t23_tksn)
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