神社データベースサイト「カミムスビ」は7月8日、一部神社から怪しむ声があがっていた「お賽銭機能」について、機能を一時停止すると発表しました。なぜこのようなことになったのか、編集部では機能停止に先立ち、カミムスビ側に取材していました。

問題となっていたサイト「カミムスビ」
発端となったのは、神社関係者を名乗るTwitterアカウントによる投稿。友人の神職から注意喚起があったとして、カミムスビについて「無許可で神社の名前と写真が使われている」「(オンラインで賽銭を投げる機能があるが)お賽銭が神社に支払われるような契約は交わされていない」など注意を呼びかけるものでした。またツイートが話題になると、他にも複数の神社の公式アカウントから「当社とは無関係」「入金も一切ありません」といった投稿が相次ぐ事態となりました。

オンラインお賽銭サイト『カミムスビ』に掲載の複数の神社が注意喚起「当神社は一切関わりがございません」(Togetter)
「カミムスビ」は一般社団法人神社を守る会が2021年5月にオープンしたWebサイト。団体の資料によれば、神社業界は現在“約7割が経営難”という状況にあり、こうした現状を非営利でサポートするために作られたのが「カミムスビ」だったといいます。サイトの機能を簡単に言えば「ユーザー投稿型の神社データベース」で、今回問題となっていた「お賽銭機能」は、6月から新たに導入されたものでした。

キーワードなどで神社データを検索することが可能

京都の伏見稲荷を検索したところ
しかし、なぜそれなら神社側が注意喚起を呼びかけるような事態になってしまったのか。編集部がサイトから問い合わせメールを送ったところ、しばらくして「カミムスビ」のボランティアスタッフの一人から電話があり(基本的にボランティアで運営しており、広報にあたる人がいないとのこと)、詳しく話を聞くことができました。
話をうかがったところ、サイトの「お賽銭機能」については詐欺などではなく、1万円を超えた段階で、決済手数料と振込手数料を除外したうえで実際に神社側へ奉納する意思があったとのこと。Twitterなどでも指摘されていた「本当に全額振り込んでいるかの証明はどうするのか」については、神社側からの求めがあれば、決済プラットフォームの履歴を全て開示する用意があったそうです。ただ、これまでの利用者はゼロ人だったため、まだ実際に振り込んだ実績はありませんでした(今回サイトが話題になってから2件だけ利用があったとのこと)。

ただ、「お賽銭機能」の提供について神社側に告知していたか尋ねると、事前に神社庁には相談していたものの、個々の神社については確認をとっておらず、そのため今回のような混乱につながってしまったといいます。日本には現在約8万もの神社があり、ボランティアメンバーだけでは個別確認まで手が回らなかったそうですが、神社や利用者から不審がる声があがっていることを伝えると「(神社側や利用者への)説明が足りなかったのはその通りだと思います」と振り返っていました。なお、写真の無断使用の指摘があることについては「ユーザー投稿型なので、利用者が問題のある写真を無断で投稿してしまったのかもしれません。ご連絡いただければすぐに対応します」とのことでした。
「カミムスビ」のサイトでは今回の件を受け、各所への調整や確認が完了するまで、お賽銭機能を停止するとともに、今後の提供については神社および神社庁など各所との調整により決めていきたいと説明。併せて「この度はご迷惑をおかけして、大変申し訳ございませんでした」「今後は、信頼できる運営を目指してまいります」と謝罪しています。
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