新潟県のえちごトキめき鉄道で、国鉄時代の急行電車を再現した「観光急行」が走り始めました。昭和生まれの鉄道ファンに胸アツなこの列車、一体何が魅力なのでしょう。昭和生まれのおっさんが語ります(全3回)。

「なつかしい派」と「レトロで面白い派」、観光急行は昭和世代も平成世代も楽しい
2021年7月4日、新潟県のえちごトキめき鉄道は「観光急行」の運行をはじめました。運行日は原則として土曜日曜祝日です。電車はJR西日本で引退した車両の「455系」と「413系」を譲り受けました。国鉄時代に作られた電車です。
その姿、武骨な内装、モーター音。これぞ国鉄。英語で「ジャパン・ナショナル・レールウェイ(JNR)」。そう、この電車こそ「スピリット・オブ・JNR」であります。


塗装はかつての急行の色が再現されています。地方の幹線で活躍した急行電車にみられました。交直両用電車といって、大都市の直流電化区間と、地方の交流電化区間の両方を直通可能な電車です。大都市に生まれ育った人のうち、この色を「懐かしい」と思う人は、青春時代に電車で遠くへ出掛けた人です。「うわぁ、あの頃の電車とソックリだ」というわけで、昭和の鉄道ファンは「涙がちょちょ切れるほど」懐かしいわけです。


若い人には「あの頃っていつだよ……」って言われるかな。もう少し解説しましょう。
1960年代後半から1980年代前半。蒸気機関車の現役引退が近づき、SLブームが起きていました。一方で「星の寝台特急」ことブルートレインブームも始まります。当時は鉄道ファンに限らず「旅といえば鉄道」という時代でした。青春時代を過ごした人々は「ワイド周遊券」「ミニ周遊券」という一定エリア乗り放題のきっぷを使いこなし、やがて「青春18きっぷ」が発売されて、鉄道の旅が盛り上がっていきます。

その頃、鉄道で旅をしていた10〜20代の少年たちが今や50〜60代に。バリバリと第一線で働いていた時期を終え、趣味のために時間やおカネを使えるようになったお年頃です。そこに「青春時代の列車がよみがえった」わけです。これは観たい。乗りたい。というわけで、6月29日に開催された株主招待試運転を取材してきたのでした。
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