カブトムシの幼虫は、あのずんぐり太い体型でどうやって地中を掘り進むのか? 長年不明だった仕組みを、大阪大学の研究者が世界で初めて解明しました。前転を繰り返して潜っていたのか……!

地中の様子を再現した装置で観測し、幼虫の動きを模式化。連続で前転し掘り進む様子が分かる(阪大の発表より)
カブトムシの幼虫は地中で暮らしますが、外見は穴を掘るのに不向き。身体が太くて先端部も丸く、足も短いため、ミミズやモグラのような掘り方はできません。そこで大阪大学大学院生命機能研究科博士課程の大学院生、足立晴彦さんらのグループは、地中を擬似的に再現し、土の固さも自由に変えられる装置を自作して観察しました。
その結果、幼虫は地面が柔らかいとミミズのような蠕動(ぜんどう)運動で直線的に進行。固い地面に当たると、でんぐり返しのような、連続的な回転運動により土を削りながら進むことが見出されました。

土の固さによって挙動が異なる(論文「Pivot burrowing of scarab beetle larva」より Creative Commons Attribution 4.0)
地中での昆虫の動きが意外に知性的で、バラエティに富むことが分かり、足立さんら研究チームは「動物行動学の分野に新たな光を投じる結果」とコメント。その一方で、「それよりも、多くのカブトムシファンの子どもたちが、より生き物に興味を持ち、しかも、自分でも面白い発見ができるかもしれない、と希望を持つことの価値のほうがはるかに高い」と述べています。
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