尾瀬国立公園のガイド協会は9月2日、公式Twitterにおける不適切な投稿を謝罪し、問題発生の経緯と今後の対応を発表しました。差別的投稿が複数回行われていたと説明しています。

協会公式Twitterは、8月21日に「例え、都市部がほぼほぼロックダウン状態になったとしても、貴方の心の湿原は広大です。アフガニスタンやミャンマー、ロヒンギャに比べれば幸せです」と投稿。これに対し批判のメールが届いたことで、協会専務理事が問題を把握したといいます。SNS担当者は広報委員長で、投稿内容を事前にチェックする仕組みはなかったとのこと。
さらに、過去には「現在、たくさんのお花が開花中!まるで、女性専用車です たくさんの『とってもいい香り』思わず、息を吸い込みます」「貴方だけにこっそりお伝えします なぜ、『ベラルーシは美人が多いのか?』お母さんもお父さんも美人(イケメン)が多いからです」などと、女性差別や人種差別、外見差別が含まれるツイートが投稿されていたことも明らかになったと述べています。
協会はツイート投稿者である広報委員長に謝罪文の掲載を命じ、8月21日に文章が掲載されますが、その内容は「誤字があるのみならず、本件各投稿の問題の所在が的確に把握されているとは到底いえない不十分極まりないもの」だったといいます。
8月23日には会長による謝罪文が掲載されますが、こちらは「問題を矮小化するような表現」が使われていたとのこと。謝罪文への批判を受け、協会は今後の対応を協議。9月2日に「差別的投稿の経緯・問題点・今後の方針」と題した文章を発表するに至りました。
協会は「当協会及び当協会所属ガイドは、多様なバックグラウンドを持つ方々皆様に、尾瀬の素晴らしさ、自然の素晴らしさ等をお伝えする責務があります」「そのような責務を放棄して、このような差別的な投稿を行い、閲覧者の方々を傷つけ、苦しませ、不快な思いをさせ、人権を侵害することは、到底許されるものではありません」などと謝罪。
問題の発生原因を「投稿者はもちろん、当協会の役員も、人権感覚や差別に関する意識が低かったこと」「SNSの運用を担当者のみに任せ、他の者のチェックがなかったこと」「SNSの影響等の知識が乏しかったこと」「協会としての危機管理が準備できていなかったこと」の大きく4点と分析し、それぞれへの具体策を述べました。今後は複数名でのチェック体制を整え、専門家の関与の元で組織形態の抜本的な見直しを行うとしています。
なお、公式Twitterを含むSNSの運用は休止。広報委員長ら問題に関与した幹部の解任、広報委員会の解散、会長の辞任などが発表されました。

尾瀬ガイド協会は、尾瀬国立公園のガイド資格の認定や講習を行う団体(公式サイトより)
日本を代表する観光地・尾瀬に関わるガイド協会の差別ツイートが波紋を呼んだ一連の騒動。一方で、今回の発表に対しては「自分たちの非を正確に認識している」「曖昧な謝罪で誤魔化さない誠実な対応」「お手本のような謝罪文」といった反応も散見され、改善への期待が広がっています。
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