子どもの頃、他人の家に置いてある「何か」が怖かった……という思い出はないでしょうか。古い置き物、掛け軸、絵画などなど、話を聞いてみると「なんでもない物なのになぜか怖かった」という経験をお持ちの方は多いようです。
今回ご紹介する作品は、そのような雰囲気から生まれたのかもしれません。作者であるイラストレーターの古屋智子(@Ftomotomo3)さんが、小さな頃に祖父の家で遭遇した、という体験談です。

小学生の頃の古屋さんが、祖父の家へ泊まりに行った時のお話。夜中にふと目を覚ました古屋さんは、部屋の隣の廊下を歩く祖父の姿を見かけたそうです。


トイレからの戻りかな、と思った古屋さんでしたが、すぐにおかしいと気がつきます。祖父の家は増築しており、廊下のつきあたりは「増築の際に潰して物入れになった、行き止まりの、元トイレの場所」なのでした。
どうしたのだろう、といぶかしがる古屋さん。その後再び廊下へ目をやると……どういう訳か、先ほどとまったく同じように、元トイレの行き止まりから歩いていく祖父の姿があったのです。


祖父が行き止まりから出てきては、廊下を歩いていく。それが何度も何度も繰り返され、現れる間隔はどんどん縮まり、いつしか「祖父の行列」ができていました。
恐怖から身体を動かせない古屋さんは、祖父の行列をずっと眺めていたのですが……行列はふと歩みを止めます。そして祖父達は古屋さんの方へ顔を向け、一斉に「なんば見ようとかー!」と大声を上げたのでした。
なんやかんやで朝を迎えた古屋さんは、伯叔父母にこの出来事を必死に訴えたそうですが、「お漏らしせんでよかったね」の一言で済まされたそうです。
ところで当時、祖父はご存命で大変元気だった、とのこと。古屋さんが目撃した「祖父の行列」は、一体なんだったのでしょうか……。
古屋さんは小説の装画や挿絵などで幅広く活躍。イラストレーターとしてだけでなく、今後は漫画を発表する機会も増やしていく予定とのことです。

米「American illustration 40」に選出されたイラスト(初出は『別冊 昭和のまちがいさがし』)
作品提供:古屋智子(@Ftomotomo3)さん/公式サイト:Tomoko FURUYA Illustration
記事:たけしな竜美(@t23_tksn)

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