「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」シリーズに登場する多脚戦車タチコマのコスプレが、「まるで本物」と話題を呼んでいます。大きな模型のようにも見えますが、実際に人が入って動かせるというのだから驚き。

しっかり車輪で走るしアームも動く!
製作したのは2人組のコスプレイヤー、コスチーム(@CosTeam5)さん。10月17日にロボットコスプレ展示会「第2次スーパーロボコス大展」に参戦し、車輪で走行しアームを動かすなど器用に動く姿を披露して、「かわいい」「完成度に感動」などと来場者を大いに沸かせました。
こうなってくると、中の人はどうやって入ってどう動かすのかなど、いろいろ気になるところ。編集部はコスチームさんに詳細を聞きました。
―― どうやって動かしているのか教えてください
コスチーム 上部に設けたハッチから、後ろのお尻の部分へ乗り込めるように作っています。搭乗者の頭上のハッチも独立して開きますので、作中同様、中の人が顔だけ出すこともできます。
操作については、中に設置したハンドルで全て行っています。スロットルレバーで走行時の出力調整、押し引きしてアームのひじを操作、レバーで指を開閉できる仕組みです。
―― 製作にはどれほどかかりましたか?
コスチーム 約8カ月です。構想は昨年(2020年)の10月下旬から始めておりましたが、コロナ禍ということもあって5月ごろより2カ月ほど作業が止まってしまい、完成したのはイベント直前のことでした。
―― 素材には何を使っていますか
コスチーム 内部のメインフレームにはアルミの角材と、一部に鉄板を使用しています。車のフレームがイメージとしては一番近いと思います。外装は大部分に硬めのコスプレボードを使っていますが、一部にFRP(繊維強化プラスチック)で作られている部分や、ABS樹脂で作ったパーツがあります。


―― 苦労された部分は?
コスチーム 腕と指を動かす機構の取り付けと、塗装ですね。指を動かすギミックや、精度の求められるパーツはCADで3Dデータを作り、3Dプリンターで出力して組み立てました。
これらはワイヤーと滑車を使った仕掛けで動かすようにしています。一見すると単純なカラクリ仕掛けですが、今まで経験がなかったので、材料の選定から設置とその調節まで、進捗は一進一退の繰り返しでした。
塗装に関しては下処理にかなり手間と時間をかけました。パテ埋めをしてヤスリでならし、樹脂部品にはサーフェイサー(下地作り用の塗料)をかけてから、仕上げにヤスリをかけて、さらに下地色を塗りました。「プラモでよくある工程をあのサイズで行った」と言えば伝わるでしょうか。

また、コスプレボードと樹脂部品を同じ工程で塗装すると、発色に明らかな差ができてしまいます。統一感を出すためにコスプレボードの部品は3度塗りをしたのちに、もういちど仕上げヤスリをかけてから2度塗り。合計5度塗りです。おかげで、作業を行ったメンバーは手にヤスリタコができました。
「ただの“乗り物”ではなく“コスプレ”として作るため、タチコマというキャラクターの感情表現を行えるように腕と手を動かせるようにこだわった」と、コスチームさん。まだ表現に余地はあるので、現状をたたき台にしてバージョンアップさせていきたいと語りました。
画像提供:コスチーム(@CosTeam5)さん
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