JR東日本子会社のJR東日本スタートアップは11月10日、ファンコミュニティープラットフォームを展開するMechuと共同で鉄道ファン向けサービス「撮り鉄コミュニティ」を開始しました。

撮り鉄コミュニティは、鉄道ファン向けの情報発信やファン需要を踏まえたイベント企画開催などを展開する、“JR東日本公式”のファンコミュニティーサービスです。無料の「フリー」、月1100円の「スターター」、2種類の会員プランを用意します。スターター会員は撮影会などのイベント開催要望を企画・提案したり、広報ポスタープロジェクトに参加できたりするプラスαの特典を設けます。


狙いは、ファン目線での「あったらいいな」「できたらいいな」の実現。例えば、「コミュニティー限定の撮影会イベント」「ファン撮影の鉄道写真を、JR東日本の宣伝用公式ポスターに使うかもしれない企画」「ママ鉄専用コーナーの開始」「普段は入れない施設・私有地での撮影イベント」などが挙げられています。

加熱する「悪質マナーの撮り鉄」の社会問題化に対し……
鉄道写真の撮影を趣味とする、俗に「撮り鉄」と呼ばれる鉄道ファン。近年、この「一部」の身勝手なファンが起こす撮影マナー違反や私有地への無断立ち入りなどによるトラブル、違法行為が問題視されています。

「俺たちは客だぞ」と駅係員にまで突っかかる人、「客ならば迷惑を掛けてもよいというのか。そんな者は果たしてファンといえるのか」と批判する人。こんな議論がなされるほど社会問題化し、地域や鉄道事業者も対応に追われています。
最近では、車両基地内などの普段は立ち入れない関連施設を解放するファン・家族向けの楽しいイベント企画を行う鉄道事業者もかなり増えました。基地内施設やレア車両を公開したり、それに乗れたり、現場の人の話を聞けたり、車両をぞんぶんに撮影できたり、方向幕回転デモンストレーションを見られたりと、参加者の満足度はおおむね高いと聞きます。
鉄道ファン視点では、今回の取り組みはJR東日本が歩み寄ってファンとコミュニケーションを取るようにした真剣な施策と思えます。本来、「撮り鉄」は悪いイメージのある言葉ではありません。同社は「鉄道写真を愛するファンと積極的にコミュニケーションを取ることで、安全に撮影できる場所の提供など、ファンの要望に応え続けていける」よう、コミュニティー名へ「撮り鉄」を入れたとしています。
ファンの中には「お仕着せ」を好まない人もいるでしょう。スマホで撮れる動画やSNSの一般化によって近年目に付くようになっただけで、この問題は以前からあって根深いという意見もあります。
しかし鉄道事業者も腰を上げ、真剣に挑みます。今後の展開、その取り組み方や効果に注目したいところです。

ネットには「撮り鉄を嫌うのではなく、包み込む」「鉄道趣味者が救われて鉄道全体のイメージアップになる方向に進めばいいと思う」「まともな鉄オタにはメリットが多い」といった声が上がっていました。
(大泉勝彦)




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