大好きだったはずのカードゲームに冷めてしまった男が、小学生との勝負で大切な思い出を取り戻す――。漫画「引退シナジー」が心に響きます。作者は漫画家の水戸くぐる(@pixiv/Twitter)さん。

主人公の塩沢侑人は、わけあってカードゲームの引退を決意。なじみのショップでめぼしいカードを売り払っていたとき、顔なじみの小学生プレイヤー、虎ノ井真帆に勝負を挑まれます。

きっぱりやめるつもりだったものの、むげに断れず「引退試合ってことで」と店の対戦スペースに着く侑人。その腕前はかなりのもので、売れ残ったカードで組んだ即席デッキでも真帆にあっさり完勝します。

そんなに強いのになぜやめるのかと聞かれ、侑人は「一番の理由は金と時間と無駄だから」とドライに返答。勝つためには“勝てるデッキ”と効果的なプレイングが必要で、そのためにはお金と情報収集にかける時間が必要なのだと説明しながら、そういった努力に疲れた自分を振り返ります。



そんなシビアな話を聞かされても真帆は目を輝かせ、「まだ戦い足りてない」「デッキのすみずみまで使ってやりたい」と再戦をリクエスト。一緒に遊んでた友だちがいなくなるのは嫌だと、涙ぐんで侑人を引き留めます。

真帆の熱意と涙を見て、侑人は初心者だったころを思い出しました。勝ちたいと思うあまりにデッキからお気に入りのカードを外し、強いカードと必要なカードで埋め尽くしたことを――。そして、デッキに限らず全てにおいて“好き”よりも“必要”を優先している自分に気付きます。

かつての情熱を思い出した侑人は、あらためて真帆の再戦を受けました。新たなデッキに入れたカードは、ゲームを始めたころのお気に入りばかり。侑人は対戦のなかで、“好き”がもたらすワクワクを実感するのでした。

カードゲームを通じて、“好き”の大切さを描いたこの漫画。コメント欄には「友だちが引退したとき、俺は止められなかったなぁ」「未練があるうちはやめるべきではないと思う」「真帆さんが大きくなっても2人で遊んでいてほしい」などの感想が寄せられています。
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