北京オリンピック女子フィギュアスケート個人戦が2月17日に決着し、優勝候補と見なされたROCカミラ・ワリエワ選手は4位に。競技終了直後から涙が止まらなかったワリエワ選手へ、同郷のスケーターが慰めの言葉をかける一方で、欧米のスケーターたちは不可解な大会へ一貫して憤りを発信し続けています。

禁止薬物が検出されるも15歳という年齢が考慮され、スポーツ仲裁裁判所(CAS)はワリエワ選手の大会出場を認定。15日開催のSP(ショートプログラム)1位で折り返したワリエワ選手でしたが、17日のFS(フリースケーティング)ではジャンプでミスを連発。精彩を欠いた演技で総合4位(暫定)に沈みました。
(左から)2位のROCトゥルソワ選手、1位のシェルバコワ選手、3位の坂本花織選手
平昌五輪銀メダリストのエフゲニア・メドベージェワは、翌18日更新したInstagramで「どう書くべきか難しい」としつつ、「カミラ、あなたの気持ちは分かる。これで全ておしまいと思うでしょうけど、そうではない」とワリエワ選手へあてたメッセージを投稿。今後の競技継続を強く望むと強調し、「1週間はInstagramを削除して、大切な人と一緒に過ごして」「この先一生戦いは続くのだから」と声をかけています。メドベージェワは早い段階からワリエワ選手への支持を表明し、演技中は同大会金メダリストのアリーナ・ザギトワと一緒に会場で声援を送っていました。
同じくロシア出身で五輪で3つのメダルを獲得したエフゲニー・プルシェンコも「勝利のためではない涙を流す彼女たちを見るのはとてもつらかった」としつつ、「飛躍のために転ばなければいけないこともある」とコメント。「きみが経験したプレッシャーとストレスは相当のものだったろう。でもきみは世界中から愛されるアスリートだ。これが最後のオリンピックじゃない」「諦めないで」と呼びかけました。

一方、欧米出身のスケーターたちの反応は依然として厳しく、コーチとして大会参加していた平昌大会メダリストの元米代表アダム・リッポンはTwitterで「なんて茶番だ、オーマイゴッド」と一言だけ投稿。米NBCで競技解説を担当する2大会出場歴を持つ元米代表ジョニー・ウィアーは競技終了後、「生涯で最も奇妙で胸が痛むイベントだった」と渋い表情で振り返る短い動画をTwitterへ投稿しています。
ソチ大会メダリストの米アシュリー・ワグナーは、直接名前を挙げなかったものの「かわいそうな女の子」「こんな立場に追い込まれるべきじゃなかった。出場させるべきじゃなかった」とツイート。心から喜ぶ様子のないメダリストたちを「見ていられない。子どもたちを不健康で有害な立場に追い込んで。胸が悪くなる」と不快感をあらわにしています。
またカナダ代表として平昌大会でメダルを獲得したメーガン・デュハメルの批判の矛先は、ワリエワ選手を指導するエテリ・トゥトベリーゼコーチへ向き「コーチという存在は、アスリートへ敬意を払い、メダル獲得だけではなくすばらしい人へ育てようと望むものでなくてはならない」と主張。さらにソルトレイクシティ金の米サラ・ヒューズは「オリンピック閉幕で終わる問題ではなく、議論を続け再検討しなくてはならない」とこれで終わりではないと強く訴えました。
日本代表として五輪2大会に出場した村主章枝さんはTwitterで繰り返し「ドーピングで命を落としている人もいます」「身体は、壊れたら元に戻らない」と危険性を強調。また競技終了後には、取り乱した様子を見せたトゥルソワ選手について「ロシアのドーピングに対する考え方を大きく変える『ペレストロイカ級の一言』だったと思います」とコメントしています。
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