メルカリが6月30日付で変更する利用規約の内容が「転売容認ではないか」と話題になっています。購入についての禁止事項から「転売等の営利を目的とした商品の購入等」との文言を削除したことが理由です。メルカリに理由を聞きました。

利用規約の変更内容(メルカリWebサイトより)
今回、文言が変更されるのは、商品の購入についての決まり事を定めたメルカリ利用規約「第10条 第2項」の内容。
これまで:
ユーザーは、購入する意思のない注文、転売等の営利を目的とした商品の購入等、及び弊社の判断でいたずら目的と見受けられる注文を行うことはできません。
6月30日付で改定:
ユーザーは、購入する意思のない注文等、弊社の判断でいたずら目的と見受けられる注文を行うことはできません。
この改定により、「転売などの営利を目的とした商品を購入すること」が禁止されないことになるとして、Twitterで拡散。「転売を容認するような規約改定」と多くのユーザーの注目を集めています。
編集部でメルカリに改定の理由についていくつか質問を送ったところ、、個別の質問についての回答は控えるとしつつ、現状を聞くことができました。
情報提供を強化することで対応
そもそも、メルカリの利用規約は、2020年8月から12月にかけて行われた「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」を通じて作成された「マーケットプレイスの基本原則」を元に作成、改定されているのですが、この原則によると、本来取引が禁止されているのは、以下の3つ。
(1)法令に違反していたり、身体・生命への危害が加わる可能性があるなど「安全」を害するもの
(2)偽造品や、取引における情報を偽装するなどの「信頼」を損なうもの
(3)差別を助長したり、誹謗中傷、脅迫行為にあたる「人道」に反するもの
すなわち、基本原則ではゲーム機や服飾品、キャラクターグッズなどの人気商品を高額で転売して利益を稼ぐ、いわゆる「転売ヤー」的な行為は禁止されていなかったことになります。
「マーケットプレイスのあり方に関する有識者会議」議事録を見ても、「高額であることをもってただちに問題になるという意見は見られなかった」「購入する人が冷静に購入の判断ができるような情報を提示するのが良いのではないか」などの記載が見られ、直ちに規制すべきという論調ではないことが分かります。
一方で、さまざまなケースに対応するため、利用規約・ガイドに従って個別に判断することもあることや、オリエンタルランドやファーストリテイリングなどとの連携を通じた注意喚起、価格の急騰を知らせる「価格アラート機能」の実装などを行うことで、購入者への情報提供を強化しているとのこと。

価格アラート機能(メルカリWebサイトより)
「転売」とは「一方から買った物を、更に他に売り渡すこと」(Oxford Languages)という意味であり、不用品を売りに出すことも広義での「転売」。そう考えると転売自体を否定してしまうと、そもそもフリマアプリの存在の根幹にも関わってきますから、安全や信頼、人道を脅かすものを禁止しつつ、それ以外のものについては情報提供をしながら個別判断していくという姿勢は筋が通っているように見えます。
一方で、人気商品の高額転売は、違法性がない場合であっても社会的に容認されづらい行為であることは確か。今回の改定はさらなる議論を呼びそうです。
メルカリは、「今後も基本原則にもとづき、お客さまの『安全』が確保できないリスクや、マーケットプレイスの『信頼』が確保できなくなるリスクを最小限にすることに努め、多様で自由なマーケットプレイスを実現してまいります」とコメントしています。
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