“おしゃれ”というと最先端の流行をイメージしますが、それとは逆に「自分自身の風貌を古臭くする方向へと突き進んだ」人が「めちゃくちゃステキ」と反響を呼んでいます。編集部は投稿者にレトロな方向に進もうと思った背景や服装のこだわりなどについてインタビューしました。

 投稿者はライターやアニメーション制作などで幅広く活動するかねひさ和哉さん。かねひささんはTwitterで、2年間「自分自身の風貌を古臭くする方向へと突き進んだ結果」のビフォー・アフター写真を公開しました。

 2年前の服装はカーキのシャツにミッキーマウスのプリントTシャツ、髪はスポーツ刈りでスクエアの黒縁メガネという、どこか幼さの残った若者らしいものとなっています。一方現在の写真はというと、ワイシャツにストライプのダブルスーツを羽織り、髪形はポマードでしっかり固めた1:9分けに。メガネも丸縁になり、鼻下にはひげも生えていて、その風格はまるで戦前の文豪のようです。

 このビフォーアフターに、Twitterでは驚きと称賛の声が続々。中には、「あなたの理想郷はここにあったのです」と昔を思わせる口ぶりでべた褒めする人もいました。また、時代感の受け取り方はさまざまのようで「溢れ出る明治時代の偉い人感」「まるで大正時代から飛び出てこられたようです」「アイスクリームソーダとインベーダーがある喫茶店でお茶したい」などのコメントが寄せられています。

 とてもステキな服装の変化ですが、そのきっかけは何だったのでしょうか。背景やこだわりについて、かねひささんにインタビューしました。

 


 

――自分自身を古く臭くする方向に進もうと思ったきっかけは何ですか?

かねひさ和哉さん:もともと昭和初期のアニメーションや映画が好きで、その時代の大衆文化についていろいろと調べていくうちに、“音楽”“ファッション”“建築”と興味の裾野がどんどん広がっていき、最終的に自分自身を「古臭く」することで自分を表現しようと思ったのが大まかなきっかけですね。

――服装のこだわりをお聞かせください。

かねひさ和哉さん:自分は服装に関してはいまだ素人で少し恐縮してしまうのですが、今回の服装に関しては丸眼鏡やポマードで固めた髪形など、着用したビンテージスーツの時代感に合った風貌に統一できるよう心掛けました。スーツ自体は自分には少し大きいサイズで現状に不満が残るので、丈詰めをしてもらうつもりです。

――今一番興味のある時代はいつですか?

かねひさ和哉さん:「興味のある時代」は非常に多岐にわたりますが、文化全体に対する興味が一番大きいのはやはり1930年代ですね。世界恐慌と戦争の影が忍び寄る中、モダンな文化が世界各国で花開いた時代です。良い面も悪い面も含めて、単なる「あこがれ」ではない関心を抱いています。

――最後に、「レトロ文化」を楽しむコツを教えてください。

かねひさ和哉さん:自分自身が目指しているものが「レトロ」なのかどうかは分かりかねますが、過去の価値観や文化を単に懐かしいもの、良いものとして愛好するだけで終わるのではなく、その時代に何が起こったのか、その結果どういう文化が生まれたのか……という風に1つの「歴史」として昔の文化を調べてみるとたくさん面白いことが分かってくると思います。

 


 

 かねひさ和哉さんは、服装の他にもイラストや映像で過去を感じさせるような作品を投稿しています。レトロを感じさせるステキな作品はTwitterYouTubeで見られます。

※作品提供:かねひさ和哉さん(Twitter/YouTube/公式サイト)