2006年5月に公表された「家族・地域の絆再生」政務官会議プロジェクトチーム(あったかハッピープロジェクト)の「中間とりまとめ」が、SNS上で「少子化の原因を個人に転嫁する国なのか」などと物議を醸しています。

同プロジェクトチームは、2006年2月から、少子化対策の一環としての家族の位置づけ、役割の見直し、その方向を実現するための方策を提言することを目的に結成されたもの。「中間とりまとめ」では、そこでの議論を踏まえ、考え方を整理しました。
Twitter上で批判を受けている点は数カ所ありますが、特に上げられているのは、「基本的な考え方」の中に明記されている以下の2点です。
(1)「今日の深刻な少子化の原因の一つとして、過度に経済的な豊かさを求め、個人を優先する風潮があると考えられる。家庭生活よりも職業生活を優先させ、個人が自らの自由や気楽さを望むあまり、生命を継承していくことの大切さへの意識が希薄化」
(2)「長期的な観点から少子化問題に対応するためには、強制ではなく、経済優先・個人優先の価値観とは異なる新しい価値観に基づき、『結婚して子どもを産み育てることが当たり前と皆が自然に考える社会』を実現することが必要であると考える」


この中間とりまとめに対して、「少子化の原因を個人に転嫁する国なのか」「現役世代としては、あんだけ非正規化、低収入化を促しておいて、『過度な経済的豊かさを求める』とか絶対言われたくないです」「どこまでも少子化は国民の選択によるワガママ、という前提なんですね。何度も言うけど、システムや将来に不安があると産めないのよ」などと批判の声が集まっています。
中間とりまとめが出された時期は第3次小泉純一郎政権期。首相官邸のWebサイトに掲載されていた「小泉内閣メールマガジン 第223号」によると、当時内閣官房副長官を務めていた長勢甚遠氏(現在は政界引退)が座長を務めていたそうです。
編集部では内閣官房に対し、「家族・地域の絆再生」政務官会議プロジェクトチーム(あったかハッピープロジェクト)の設立経緯や、中間とりまとめを出したあとの会議の開催状況はどうなったのか問い合わせましたが、国会図書館にアーカイブはあったものの当時の資料などは見当たらず、どのような体制でやっていたかは分からないということでした。
なお、その後の第1次安倍晋三政権下では、似た名前の「地域・家族の再生分科会」というものがあり、こちらは内閣府のWebサイトで議事要旨や会議資料を見られます。最終的にとりまとめられた「子どもと家族を応援する日本」重点戦略(案)(福田康夫政権時)もありますが、中間とりまとめで問題視されていた2文と同じ文言は見つかりませんでした(文字化けしていた文章を除く)。この戦略案では、少子化の原因として、とりわけ女性にとって就労と出産・子育ての状況が二者択一の状況となっていることなどが上げられています。
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