ガリガリで怯えていた元野犬を、家族に迎えて10カ月……　笑顔を見せるまでのビフォーアフターに胸が熱くなる

　ガリガリに痩せているところを保護され、家族として迎えられた元野犬。飼い主さんに笑顔を見せるまでのビフォーアフターが、TikTokで紹介されています。動画には、「幸せになれて良かった」「これからは安心して暮らしてね」といった声が寄せられています。

　ワンちゃんは2021年10月に保健所から引き取った「ふう」ちゃん（メス）です。推定2歳程のふうちゃんは保護当時、長毛なのに骨が浮いてみえるほど痩せており、毛艶もなかったといいます。

　引き取って3日目までは、ご飯も水もとらず、排せつもせず、すみっこから動かなかったというふうちゃん。3日目にやっとご飯を食べてくれて、そこからは食べるだけ食べさせるようにしたそうです。

　最初の3カ月はケージから全く出られず、人間が近づくと怖くておしっこをもらすような状態。気付いたら出窓に乗って、逃げたくてしょうがない感じが伝わってきたといいます。

　最初は人間がいない部屋で過ごしてもらいましたが、少し慣れた頃に人間の動きを見てもらおうとリビングのケージに移動。人間に対しては怯えていたふうちゃんですが、同時期に預かっていた保護子犬たち（5〜6匹）に対しては、お乳以外のお世話を全てしてくれたそうです。何て優しいんでしょう。

　3カ月後にケージから出たふうちゃんは少しずつ行動範囲を拡大。次第に笑顔を見せてくれるようになり、散歩の練習もスタートしました。

　ふうちゃんを引き取った池田明美さんは野犬の成犬の受け入れが初めてで、ふうちゃんが慣れてくれるまで、「絶対だめだけど、逃がしてあげたほうがこの子のためではないか、どうしたらいいのか」と不安で泣いた日もあったとのこと。今は、ふうちゃんが散歩で笑顔を見せてくれるとうれしくてたまらない、と話してくれました。

　過酷な生活を経験したせいか、ふうちゃんは海藻でも何でも食べるんだそうです。また海のある所で育ったからか、水遊びが大好き！　十分なご飯を食べられて、楽しく海で遊ぶふうちゃんを想像すると、「これまで頑張って生きてくれてありがとう、これからは穏やかに過ごしてね」と声をかけてあげたくなります。

　池田さんが住む地域（山口県）は野犬が多いものの、行政はあまり問題解消に積極的ではなく、保護活動をしている人たちで変えていきたいと考えている、とのこと。最終目標は「犬猫の殺処分ゼロ」ですが、まずはこの記事を読んだ人たちに「自分も預かりボランティアができるかも」と思ってもらえればうれしい。野犬は本当はとても賢く、体も丈夫な子が多い。野犬が吠えるのは人間が怖いからで、こちらから危害を加えない限りは向かってこない。「野犬は怖い」という偏見もなくなってほしいです、と語ってくれました。

　また、野犬の成犬と暮らすのは本当に覚悟がいることですが、人間と信頼関係が築けたときに「あれだけ人に慣れていなかった子が……」と感動が大きいので、ぜひ犬好きな人に飼ってほしい、とも話してくれました。

　池田明美さんは元競艇選手で、引退後に保護活動をスタート。現役選手や元選手のみなさんも、池田さんの活動をサポートしてくれているそうです。

　池田さんたちの保護活動の様子はTikTokの他、Instagram（@hanamops）でも発信中。ふうちゃんの遊び相手である「ぽて」ちゃんや、預かりボランティア中のかわいいワンちゃんたちの様子を見ることができます。