楽しいはずの紅葉狩りドライブが一転!?
いろは坂は特定の条件がそろった苦手シチュエーションだった
SPORT HYBRID i-DCDは、大枠ではオートマチックトランスミッションの種類の一つとなる、デュアルクラッチトランスミッション(DCT)です。

DCTは、クラッチとトランスミッションを2組搭載し、変速効率が良く、素早い変速と変速時のショックが小さいという特徴があります。一般的なマニュアルトランスミッションと同様、エンジン動力からトランスミッションへの伝達効率が高いことにより、燃費向上が期待できます。

また、SPORT HYBRID i-DCDのようにクラッチ板をオイルに浸さない乾式を採用した場合、トランスミッションの小型化が可能となり、製造コストや維持コストを大幅に下げられます。その一方で、クラッチの冷却効率や停止時からの発進が不得意になってしまうという欠点もあります。おなじDCTでも、スポーツカーなどでは乾式より長寿命とされる湿式タイプのものが主流です。
DCTは他のオートマチックトランスミッションと比較して優れた点が多いものの、一般的には気難しいオートマチックトランスミッションと評価されがちです。前述のようにコストと耐久性の両立が課題で、同様の事例で過去にリコールを行ったメーカーも存在しています。
ホンダのSPORT HYBRID i-DCDは本来、「フィット」のようなコンパクトカーにもDCTを普及させつつ、モーターを組み合わせ、さらなる燃費の向上を図ったうえで冷却効率や0キロ発進での欠点を補ったDCTという位置付けになっていました。

しかし、今回の「上り坂で0キロ発進と低速走行を繰り返す」という特定の条件下では、SPORT HYBRID i-DCDでもDCT特有の欠点が表面化してしまい、温度警告表示を見たドライバーがトランスミッションの冷却を待つため、やむを得ず車両を停車させたことで立ち往生が起こってしまったという状況のようでした。
この仕組みは動力バッテリーが切れて完全に発進が出来なくなってしまうことを避けつつ、クラッチの著しい摩耗や破損による車両故障を回避するためにも、クルマの特性として仕方がないものであったと考えられます。
