東日本旅客鉄道(JR東日本)は2022年11月15日、同社公式の鉄道運転シミュレーター「JR東日本トレインシミュレータ」(関連記事)の正式版をゲームプラットフォーム「Steam」で配信開始しました。基本パックの価格は2980円です。

JR東日本トレインシミュレータは、JR東日本の運転士が実際に使用する訓練用シミュレーターを一部加工し、実写の映像と走行音を自宅で楽しめるように提供する鉄道運転シミュレーター。実際に業務用シミュレーターを制作する音楽館が開発を手掛けました。これまで開発途上のソフトウェアを先行して体験できる早期アクセス版として配信していましたが、ついに正式バージョンとしての配信が始まりました。

早期アクセス版と正式版で大きく異なる部分は、収録路線が変更されている点です。早期アクセス版では京浜東北線と八高線のいずれも一部区間を収録していましたが、正式版ではこの2路線を体験できなくなる代わりに、東海道線、中央線快速、大糸線の3路線の一部区間を基本パックとして収録しました。この3路線についてはDLCを購入することで、より長距離を体験できるようになっています。

正式版の配信を予告した11月1日、音楽館の社長を務める向谷実さんは自身のYouTubeチャンネルで“緊急生配信”を実施しており、その動画内では東海道線の収録区間について、当初は東京〜平塚を予定していたと明かしています。実際の東海道線で考えるとこの区間だけではホンモノ感に欠け、「区間が中途半端」(向谷さん)であることから、さまざまな協議を経て、JR東日本管轄の全区間にあたる東京〜熱海間(104.6キロ)を収録することが決まったといいます。
東海道線のDLCでは他のDLCと比べて1.5倍〜2倍ほどの距離を体験できることから、価格も他の2路線と比べて1000円高い3980円という設定になっています。
早期アクセス版で体験できた2路線については、今後、全区間を提供できるよう準備を進めていくとしています。早期アクセス版での収録路線のうち、八高線は気動車を運転できるとネット上でも好評を博していた路線です。正式版の収録路線は現時点では電車のみ。ここはぜひ、正式版での気動車の復活にも期待したいところです。
発車メロディーが収録されていない点については「権利関係が難しい」として、現状では複数の権利者に個別に許諾を取る必要があることなどから収録の実現には時間がかかると説明しています。
また向谷さんが率いる音楽館では、JR東日本が実際に乗務員の訓練に使用しているトレインシミュレーターを手掛けていることから、トレインシミュレーター用の“素材”は大半の路線で用意できている状態だと動画内で語っています。今後の継続的な路線追加にも期待できそうです。
向谷実さんのYouTubeチャンネルでは、正式版の配信開始を記念して、11月15日20時からJR東日本担当者も交えた“緊急生配信”をあらためて実施します。
(大泉勝彦)

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