同性婚の法制化により、日本国内で結婚する可能性のある人は約12万組と推計され、経済効果は8000億円以上になる――。認定NPO法人虹色ダイバーシティは、法政大学グローバル教養学部の平森大規助教らの協力のもと、2月22日に試算を発表しました。

同性婚が実現した場合に結婚する可能性がある人は、2020年国勢調査の未婚者の人数に、LGB(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル)の人口割合2.1%(※研究論文)と未婚率を乗じて算出すると、24万6455人(12万3227組)になります。

計算過程のデータ
また、デンマークとスウェーデンでは、同性婚の実現前後で同性パートナーのいる人の自死率が46%減少したという調査が存在します。独立行政法人 労働政策研究・研修機構の試算によると、日本でのLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー)の自死による社会的損失は1188億円〜4277億円。メンタルヘルスが短期的な効果として仮に10〜20%改善すると仮定した場合、社会的損失の低減効果は年間で119億円〜855億円におよびます。
さらに、リクルートブライダル総研の調査によると、挙式や披露宴など結婚イベントによる、結婚1組あたりの経済波及効果は658万円。同性婚が実現した場合、結婚イベントによる直接効果・間接効果は8110億円あり、雇用効果は7万4000人になると試算されます。

計算過程のデータ
新婚旅行や車の購入などでさらに大きな経済効果か
2023年2月現在、全国5カ所で同性婚の実現のための集団訴訟「結婚の自由をすべての人に」訴訟が続いています。虹色ダイバーシティは訴訟を念頭に、「この訴訟で争われているのは憲法の基本的人権であり、経済的な損得とは切り離して考えるべき」としつつも、「婚姻平等が日本社会に与えるポジティブな効果を具体的にイメージいただくための材料」として、今回の試算を発表したとしています。
ただし、今回の試算ではLGB人口割合を少なく見積もって2.1%と仮定しており、同性愛者・両性愛者とはっきり自認せずに同性と生活している人を含んでいないなど、論点となり得る部分も存在します。
また、今回の試算では経済波及効果については、結婚イベントに消費する1組あたりの金額は異性カップルの平均値を使用しています。虹色ダイバーシティはこの点について、「カミングアウトの困難さから結婚式を行わない、招待客が少ない等の可能性もあります。逆に、子どもの少なさや今まで祝福される機会を持てなかったことから特にお金をかける人が出てくる可能性もあり、現時点では予測が難しい」と補足。結婚にともない、新婚旅行、住居や保険の見直し、車の購入、子どもを持つことを検討する場合もあり、さらに大きな経済効果になる可能性もあると言及しました。
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