消息不明の大好きな漫画家を長年追い続けていたところ、Twitterをきっかけとして縁がつながり話が進み、原画展の開催、死蔵作品集の制作、さらには同人誌ながらも30年ぶりの新作を出してもらえるまでこぎつけた――ファンの努力が実を結んだ奇跡的な出来事が話題となっています。

漫画アシスタントのモンキー・アドベンチャー(@monkey_adventur)さんが長年追い続けていたのは、海外製3DダンジョンRPG『ウィザードリィ』のコミカライズ作品『漫画版ウィザードリィ』『ウィザードリィ外伝』を代表作に持ち、1980年後半〜2000年前半にかけて活動していた漫画家「石垣環(いしがき・たまき)」さんです。

ウィザードリィ関連の漫画単行本は大ヒットとなったのですが、その後はいくつかの作品の発表や、トレーディングカードゲームの原画に関わるなどした後、石垣環さんは表舞台から姿を消し、消息不明となってしまいました。
モンキー・アドベンチャーさんは長年にわたって、石垣環さんの動向や消息を調べ続けていたのですが、Wikipediaに書かれたわずかな情報、ネット掲示板にファンが書き込んだだろう噂、過去の読み切り作品などしか見つけられなかったといいます。
ですが2019年、モンキー・アドベンチャーさんがTwitterを始めたところ、石垣環さんと交流がある人による「ウィザードリィの原稿や、トレーディングカードのカラー原画が死蔵されている。これらをファンの皆さんにも見てもらいたい」というツイートを発見したのです。

ここから事態は一気に進みます。モンキー・アドベンチャーさんは、そのツイートを投稿した人を経由して石垣環さんにアポイントを取り、本人に「すばらしい生原稿、生原画をファンや知らない人に見てもらうイベントを開催したい」と提案、プレゼンを行ったところ、なんと原画展開催の許可をとれたのです。

準備に約1年をかけて原画展を開催。その後は死蔵作品をまとめた作品集の発行、石垣環さんとファンとの交流会の定期的な開催、さらには同人誌ながらも石垣環さんの30年ぶりの新作を発行してもらえるまでに至ったのです。

「消息不明の大好きな漫画家を追いかけ続け、数十年後にようやく見つけた縁からアポイントを取り、ファンの人たちはもちろん、知らない人たちにもそのすばらしさを知ってもらうための原画展を提案したところ、それだけでなくさまざまな活動に関わることになった」という、長年のファンという立場から考えれば夢のような展開です。

ねとらぼ編集部は、このようにすばらしい成果をあげたモンキー・アドベンチャーさんに詳しくお話を伺いました。
モンキー・アドベンチャーさんへのインタビュー
――石垣先生を知り、好きになったきっかけを教えてください。
モンキー・アドベンチャーさん(以下・モンキー) 1990年前後に連載されていた『漫画版ウィザードリィ』『ウィザードリィ外伝』に触れたことがきっかけです。当時の漫画単行本は300円〜500円ぐらいが相場だったところで、これらはA5サイズの約200ページで1000円とかなり高価だったのですが、それでも漫画版と外伝を合わせて9冊が刊行されまして、石垣先生自身も「大ヒット作品だった」とおっしゃっていました。
この作品のヒットは、90年代に起きたゲームコミカライズブームの火付け役の1つと言っても過言ではありません。
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