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保護主に抱っこされ、赤ちゃんのように寝かしつけられる保護ウォンバットの姿がTwitterに投稿され、記事執筆時点で647万回再生を突破、28万件以上のいいねを集めています。なぜ保護主をたずねてくるようになったのか、詳しい話を聞きました。
投稿者は豪シドニーを拠点に暮らすakローラ(@ak215)さん。カンガルーやワラビー、ポッサム、鹿、ヤギ、ブタなどの野生動物が暮らす1600エーカーの広大な山を所有し、地域の動物保護活動家たちと協力して、ウォンバットやカンガルー、ポッサムの保護と野生へのリリースを行っています。
今回話題になったのは、2021年9月に保護されたウォンバットの「ブル」くん。交通事故で死んでしまった母親のおなかの袋から保護された当時は、まだ毛も生えそろっていない、わずか800グラムの赤ちゃんだったそうです。
そんなブルくんは、akローラさんの家の外、山の地中に穴を掘った巣穴で暮らしていますが、最近になり、外が暗くなるとakローラさんの家をたずねてくるようになったのだとか。この日も、ドアの前で開けてもらうのを待っていました。

ドアが開くと、トコトコと慣れた様子で家の中に入ってきます。奥の部屋にはakローラさんのパートナー、コーリーさんがソファに座ってブルくんに「おいで、おいで」と優しく語りかけていました。するとブル君、上半身を起こして、コーリーさんに抱っこしてもらうと……?



コーリーさんはそのままグルンとブル君をあお向けにして、ギュッと抱きしめました。安心したような表情になったブル君はそのまま両目をつぶり、左前足をグッとにぎって、すぐにスヤスヤと眠ってしまったのです。なんて心地よさそうな表情でしょう。ちなみに前足をにぎって眠るのは、幼少時から見られた行動とのこと。全てがかわいすぎます……。




ブル君を見つめるコーリーさんのまなざしは愛情深く、本当の親のような慈愛を感じます。体重約30キロあるブル君の抱っこは簡単ではないかと思いますが、赤ちゃんのように甘えるブル君の全てを受け止めている姿に心を打たれます。ブル君は、このように夕方過ぎに1〜2時間ソファで眠ってから、山に出かけて行くのが最近のパターンだそうですよ。
akローラさんによると、ブル君が家をたずねるようになったのはある理由があるそうです。編集部は詳しく聞きました。
――ブル君が家をたずねてくるようになったきっかけは何なのでしょうか?
akローラさん:2021年9月にブル君を保護して、2022年1月に別のケアラーさんが保護する同月齢のウォンバットの女の子「ピッツィ」も引き受けることになり、ふたりは一緒に成長しました。彼らの発育に応じて住まいを屋内から屋外へ、安全のために閉じていたケージも途中から解放し自由に山にアクセスできる環境に。ときには山に出かけたまま数日間姿を消すこともありましたが、体重20キロを超えるまで大きくたくましく成長しました。
ところが約2カ月前の2023年2月、ピッツィが自立し(おそらく年齢的に妊娠、ウォンバットの女の子は妊娠すると単独で育てるんです)、姿を消しました。ひとりぼっちになってしまったブル君は、動画で紹介したようにこうして家をたずねてくるようになったのです。
――そうだったのですね。シドニーではブル君のように、保護主に大変懐くウォンバットは多くいるのでしょうか?
akローラさん:20年以上にわたり、主にウォンバットの保護活動をするベテランケアラーさんも、ブル君のように半分野生、半分ペットのようなウォンバットは大変珍しいと言っています。私たちも、いずれ山に巣立つであろうブル君の成長を、今後も見守っていくという状況です。
まだ保護環境下とはいえ、野生環境で生活を始めたウォンバットとは徐々に接触を避けた方がいいのですが、幼いころから面倒を見ていると可愛さの方が優ってしまい……。彼が私たちを必要とする以上は、私たちも愛情を注いでいこうと思っています。元はと言えば、人間のせいで(交通事故)親を亡くしてしまった子なので。
(了)
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