広島県尾道市が妊婦向けに配布した手紙「先輩パパからあなたへ」が、SNS上で批判を呼んでいます。ねとらぼ編集部では、尾道市に取材しました。

批判が集まっている手紙は、「産前産後のパパの気持ち」についてアンケートを取り、結果を「これからの育児にお役立てください」とランキング形式で紹介したもの。「妻のこういう態度(言葉)が嫌だった」の項目では「赤ちゃんの世話で忙しく、家事ができていない」「何もしてくれない」。「妻にしてもらいたいこと」の項目では「今のままでよい」という回答もありましたが、「家事をそれなりにやってほしい」という回答も上位に入っていました。「妻にしてもらってうれしかったこと」の項目では「家事」「育児」などが挙げられています。

この内容を「訳が分からない」と紹介した投稿はSNSで拡散され、批判が殺到。産後、体力の低下や乳児の世話で疲弊している妻に、さらなる家事や夫の世話を求めるような内容と受け止められ、「ママを追い詰めるのでは」「子育てに不安を持つ女性たちがこれを見てどういう気持ちになるか」などの意見が寄せられています。
また「男性は理論、女性は感情に基づいて行動する」との記述を、「性差別につながる」と問題視する声も。手紙が「先輩パパからあなた(ママ)宛」のみで、「先輩ママから新米パパへ」がないことを指摘する人も見られます。
尾道市「性別による役割を固定的に捉える意識や慣行を助長する表現内容があった」
ねとらぼ編集部がこの件について尾道市健康推進課に取材したところ、手紙は「妊娠7カ月の妊婦の方にお送りしている『プレママレター』の中の1つの資料」とのこと。「先輩パパからあなた宛」のほか、妊娠届出時に「尾道市の先輩ママ約100人の〜産前産後のママの気持ち〜」という資料も渡しているそうです。


手紙の作成意図は「お父さん、お母さんがお互いの考え方の違いを知っていただくため」だったといいます。批判の声についてどのように受け止めているか聞いたところ、次のような回答がありました。
多くの方々を不快な思いにさせてしまい大変申し訳なく思っています。性別による役割を固定的に捉える意識や慣行を助長する表現内容があり、配布を中止して、早急に新規に配布する手紙の内容について検討いたします。
また、尾道市の平谷祐宏市長は自身のSNSを更新し、手紙が「子育てに関わる方々の心情にそぐわない内容」として、「多くの方々を不快な思いにさせてしまい、大変申し訳ありませんでした」と謝罪しました。
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