ヤンマガ新人賞のX(Twitter)アカウントに、「ちばてつや賞ヤング部門第89回優秀新人賞」を受賞した漫画作品「犬を送る」が投稿され、記事執筆時点で2440万件表示、7万8000件いいねを獲得。
「名作」「考えさせられました」と大きな反響を呼んでいます。編集部は作者の藤原ハル(@HALfujiwara)さんに取材しました。
※この作品には犬が死ぬ描写があります。読んでつらくなる場合は閲覧しないようお願いします。
息を引き取った愛犬の「たま」ちゃんと夫婦の物語
主人公のマリは、号泣する夫の圭を見ながら「大人の男が泣くのを初めて見た」とどこか他人事のように感じていました。マリと圭の前には、息を引き取ったばかりの愛犬、柴犬の「たま」ちゃんが安らかな顔で横たわっています。

涙が止まり冷静さを取り戻した2人は、マリがたまちゃんの火葬場を予約。沈黙のまま座っていましたが、圭がぽつりと「(火葬場に行く)2時まで時間あるから たまの散歩……行こうよ」と声をかけました。圭がたまちゃんを抱っこして、最後の散歩に行くことに。行き先は、いつもの公園です。

道すがら、マリはたまちゃんを迎えたときの事を思い出していました。たまたま寄ったお店で偶然出会った子犬のたまちゃんに一目ぼれしたマリと圭。「最初に見ていきなり決めちゃっていいの?」と言うマリでしたが、「いきなりで決めたくなる犬に出会えたってことは 運命なんじゃないの?」という圭の言葉に、お迎えすることを決意したのです。

その後たまとの暮らしを送るマリと圭でしたが、子どもができない事をマリが思い悩んだのをきっかけに、あれほど仲が良かった2人の間の溝がどんどん大きくなっていきます。
しかしそんなとき、いつも仲を取り持ってくれたのはたまちゃんの存在でした。マリが大きなショックを受けた圭のある裏切りの後も、同じようにたまちゃんの散歩に行った2人。あのときも、たまちゃんが死んでしまった今日も、公園の桜は美しく咲き誇っています。

あの日と同じように、満開の桜を見つめるマリと圭。ずっと寄り添い2人をつなぎとめてくれていた、たまちゃんはもうこの世にはいません。マリは桜を見つめながら、「……ずいぶん遠くまで来てしまったみたい」「別れよう」とつぶやきました。圭もこちらを見ずに「……ああ わかった」とつぶやき――。

マリと圭はたまちゃんの死をきっかけに、このまま決別してしまうのか。涙のラストはぜひ本編をお読みください。編集部は、作者の藤原ハルさんに作品について聞きました。

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