←“絵の素人”の絵コンテ　プロアニメーターの本気→　“驚がくビフォーアフター”のMVが96万再生

　絵の素人が描いた絵コンテとプロが本気で描いたアニメの比較動画が、YouTubeで話題です。投稿は、記事執筆時点で96万回以上再生され、6万5000件を超える“いいね”を集めています。

　話題の動画を投稿したのは、Music：cage、Guitar：raynの2人からなる音楽ユニットの「鳥籠の中で僕たちは、」（@TORicago）。「日常に漂う違和感を音楽に。」をコンセプトに、2021年5月より活動を開始しました。

まさかすぎるMVの仕上がり

　今回の動画では、下画面に作曲家（cageさん）が必死で描いた絵コンテ、上画面にプロのアニメーター（cacaotaneさん）が仕上げたアニメーションが並べられています。

　最初のシーンは、下の絵コンテには3つの顔が並んでいる様子。次に上の完成アニメーションを見ると……うさぎと小鳥たちがのぞき込んでいる場面に！　背景や効果などで情景が一気に広がりますね。

　完成版のMVの方では、実はそれが目を覚ました女の子の視点ということが判明。女の子が体を起こすと、小鳥たちが何かを伝えるように腕を引っ張っていきます。次の瞬間、女の子と動物たちは森の中を楽しそうに駆け出し、躍動感あふれるシーンへと移りました。カメラワークも素晴らしく、とても臨場感があるアニメーションです。

　ちなみに、このシーンの絵コンテには「わちゃわちゃしてる」「ひっぱる」という情報しかありません。それをここまで完成度の高いアニメーションに仕上げるなんて、プロの本気はスゴすぎる……。

プロの実力と絵コンテもすごい！

　この投稿に対し、コメント欄では「わちゃわちゃしている死ぬほど好き」「発想広げるアニメーターの方も凄い」「鳥の再現度好きだわw」「女の子の丸っこいキャラデザ可愛すぎる」「分かりやすい絵コンテ描けるのもすばらしい」など絶賛の声が寄せられています。cageさんの絵コンテはシンプルながらも、しっかりと伝えたいことが表現されていますね！

　ねとらぼ編集部では、大きな反響を呼んだ今回の動画について、アニメーターの「cacaotane」さんと作曲者の「cage」さんに話を聞きました。

アニメーター「余計なアレンジを入れないように意識しました」

――　絵コンテを基にアニメーションを作成する際、工夫した点はありますか？

cacaotaneさん： cageさんの描いたイメージがすてきだったため、余計なアレンジを入れないように意識しました。

　一部コンテになかったところは、主人公であるOLの仕事に追われて疲れきっているイメージを膨らませて制作しました。

――　今回の作品で気に入っているところを教えてください

cacaotaneさん： ラスサビ前の海に沈んでいくようなシーンがお気に入りです。サビ前の落ち着いたシーンに合うように、泡となびきの作画には特にこだわりました。

　ラフ段階では物足りなかったシーンが映像編集を担当されたよたばいと（@yb_uta）さんの力で、一気に引き込まれる美しい映像になりました。完成版が私の想像を超えたすてきな映像になっていて感動したことを今でも覚えています……！

――　動画の反響について、お気持ちをお聞かせください

cacaotaneさん： ショート動画がこんなにたくさんの方に見られているなんて驚きました。私自身、この曲が大好きなので、たくさんの方に届いてとてもうれしいです！

作曲者「舌を巻くばかりです」

――　絵コンテとの違いで驚いたところはどこでしょうか？

cageさん：違いというか、同じところを探すほうが難しいですね（笑）

　あんな雑な絵コンテから、僕が頭の中で描いている構図を忠実にくみ取ってくださったcacaotaneさんの技量には舌を巻くばかりです。

――　完成したMVを見た時の感想を教えてください

cageさん：「本当に作りたかったMVが目の前にある…！」という感動でいっぱいでした。人と何かを作る、ということはとても労力のかかる作業です。何回も打ち合わせをしてようやく1つの作品が仕上がります。

　でも、人の手を借りて自分の想像をはるかに超えた作品が完成した瞬間は、何事にも代えがたいものです。cacaotaneさん、よたばいとさんという素晴らしいクリエイターの協力なしではこのMVは完成しなかったと思います。本当にありがとうございます！

――　動画の反響について、お気持ちをお聞かせください

cageさん：自分の絵の下手さと、cacaotaneさんのすてきなアニメーションのギャップに驚くリスナーはたくさんいるだろうなと予想はしていました。まさかここまで反響があるとは思いもしなかったですが……ありがたいことに、JOYSOUNDにおけるカラオケ配信のお話もいただいています。

　皆で時間をかけて作った最高傑作なので、もっと多くの人に見てもらえたらうれしいです。

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　なお、話題になったMV「メアリー・スーの憂鬱 feat.むト」の全編は「鳥籠の中で僕たちは、」のYouTubeチャンネルで見ることができます。

※画像／動画提供：「鳥籠の中で僕たちは、」（@TORicago）