ねとらぼ

第三者委「(フジテレビには)セクハラを中心とするハラスメントがまん延している実態があった」。

第三者委員会は本事案をどう結論付けた?

 第三者委員会は、2023年6月2日に女性Aさんが中居氏のマンションの部屋に入ってから退室するまでの間に起きたこと(本事案)についての結論として「女性Aが中居氏によって性暴力による被害を受けたもの」と認定。「当委員会は、性暴力を重大な人権侵害行為の一つと認識している」としました。

advertisement

フジテレビ社員による中居氏の利益のためとみられる行動も明らかに

 調査の中ではフジテレビの元編成総局編成部長であったB氏と同局の企画戦略総括担当部長J氏が、中居氏の利益のためとみられる行動を取っていたことも明らかになりました。

 2023年7月に中居氏から「至急相談したい」として、女性Aさんとトラブルになっていることの相談を受けたB氏とJ氏。B氏は「中居氏が女性Aと連絡先を交換していたこと、2人で会っていたこと、中居氏から女性Aに対する行為に驚いた」といいますが、中居氏の話から本事案がプライベートにおける男女トラブルと認識したと話し、J氏も「タレントやアスリートと女性アナウンサーが交際したり、結婚したりした事例が複数ある」ことから、プライベートにおける男女トラブルと認識したといいます。

 また中居氏とB氏との間では2023年7月13日にショートメールで以下のやり取りが行われ、B氏は中居氏の求めに応じて内容の削除をUI上は行っていたものの、第三者委員会の調査によると携帯電話内にデータが残っていたといいます。

中居氏:B。また、連絡があり、接触障害(ママ/摂食障害)と鬱で入院。やりたい仕事もできず、給料も減り、お金も無くあの日を悔やむばかりと。見たら削除して。どうしよか。

B氏:なかなかですね、、私から無邪気なLINEしてみましょうか??

フジテレビ 中居正広
中居氏からフジテレビ社員への相談の詳細(調査報告書より)

 女性Aさんは本事案後も中居氏から連絡が来ていたことから「耐えられず心が壊れた」と第三者委員会に吐露。

 本事案が自分の意に沿わないことであったこと、そのとき泣いていたこと、怖かったこと、当日食べた鍋の具材でフラッシュバックすること、産業医らが中居氏を訴えるべきであると言っていることなどを中居氏に伝えたといいます。

 訴えれば中居氏のダメージも大きく、自分も仕事ができなくなるため「穏便に済ませたい」と考えている一方で、「自分の収入では高額な医療費を賄えないため治療費・入院費の支払いをしてほしい」と連絡したところ、中居氏は「見舞金を支払う旨、贈与や税金等の関係からその範囲内で行いたい旨、共通の知人であるB氏に届けてもらう形としたい旨」を提案

 こうしたやり取りの中、中居氏は第三者委員会への聞き取りに対して「女性Aの病気や入院が本当に本事案によるものなのか分からなかった、仕事や家族関係によるものかもしれないと思っていた」などと述べたといいます。

 報告書では中居氏から依頼を受けたB氏が中居氏に代わり、見舞金の名目で現金100万円を女性Aさんの入院先に届けたことについても言及。

 結局見舞金の受け取りをAさんは拒否したものの、「B氏は女性Aの重篤な病状を認識していたにもかかわらず、中居氏の代わりに現金を渡そうとした行為は、女性Aの病状、心情への配慮を欠いている」「女性Aに対する口封じ、二次加害被害行為とも評価し得る」と評価しました。

 また、B氏とJ氏が中居氏の依頼を受け、フジテレビのバラエティ部門に対し、20年間にわたって継続的にリーガルアドバイザーをしていたK弁護士を中居氏に紹介し、J氏が中居氏をK弁護士の事務所までアテンドしたという行為についても、「中居氏の利益のための行動」と厳しく追及。

 K弁護士はAさんとの共演経験があったことにも触れつつ、「B氏のこうした行為は、女性Aに対する二次加害行為とも評価し得る」「フジテレビは、社員である女性Aのケア、救済、復帰のための環境整備を行うべきことが求められており、B氏らの行為はフジテレビに対する背信的行為とも評し得る」としました。

 こうした行動が女性Aさんが「フジテレビが大物タレントを守り、入社数年目の社員、アナウンサーを切り捨てると受け止めたことは当然である」と評価しました。

advertisement

フジテレビの対応は適切だったのか? 

 フジテレビの対応については「本事案へのフジテレビの一連の対応は、上記のとおりであり、経営判断の体をなしていない」「港社長ら3名は、性暴力への理解を欠き、被害者救済の視点が乏しかった」「少なくとも本事案をプライベートの問題と即断するのではなく、業務の延長線上の行為である可能性を認識して本事案について必要な事実確認をしたうえで対応を検討し、意思決定を行うことが適切であった」としました。

 またフジテレビが女性Aさんに対して「会社は守ってくれない」「会社から切り離された」として孤独感、孤立感を感じさせたとして「被害者ケア・救済の観点からも不十分な対応であった」と締めくくりました。

※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

関連タグ

Copyright © ITmedia Inc. All Rights Reserved.