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第三者委「(フジテレビには)セクハラを中心とするハラスメントがまん延している実態があった」。

第三者委質疑応答:高級ホテル飲み会はフジテレビの経費だった

 会見では調査報告後、記者らによる質疑応答が行われました。

 フジテレビによる発表においては女性Aさんの職業などがこれまで伏せられていましたが、今回フジテレビのアナウンサーであったことが明かされたことについて第三者委員会は「会社(フジテレビ)から独立した委員会が調査をするということで、事実、実態を理解してほしいというお気持ちがあったのではないかと思う。信頼を得て、調査に応じていただいたと理解をしている」とコメント。

 また、本件の類似事案については有力な番組出演者と女性アナウンサーが参加をしてハラスメントの被害があった件、有力な番組出演者との飲食の場に女性社員が呼ばれて、そのあと女性社員が番組出演者と2人きりになりハラスメント被害を受けた件の2事案を挙げ、「共通して男性社員が女性を置き去りにして有力な出演者と女性だけの空間ができてハラスメント被害が起きたというもの」と評価。

 またこの外資系ホテルのスイートルームでの飲み会の経費約38万円については、番組のロケ等施設料としてフジテレビ側が経費精算を行ったと明かしました。

 またこのほかにも元常務取締役の石原正人氏、「BSフジLIVEプライムニュース」にキャスターとして出演している元取締役の反町理氏が過去にハラスメント行為を行っていたことも明らかとなり、「(フジテレビには)セクハラを中心とするハラスメントがまん延している実態があった」と述べました。

 またアンケートにおいて「日枝氏がフジテレビグループの人事権を掌握している」と感じる役職員が82パーセントに上ったという日枝久氏について、説明責任はないのかを問われると「説明責任があるかないかといえば、一定の説明責任はある。ただ社内人事は取締役会で決定するものなので、取締役会のメンバー全員にも責任はある」としました。

フジテレビ 中居正広
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フジテレビ清水社長も会見に登場

 第三者委員会による調査報告と質疑応答が終わった後は、フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の次期社長でフジテレビの清水賢治社長が会見を行いました。

フジテレビ 中居正広
フジ・メディア・ホールディングス(FMH)の次期社長でフジテレビの清水賢治社長

 会見には清水社長が単独で登壇。

 第三者委員会による報告書の結果を受けて、「事案発生後の会社の対応や企業風土、ガバナンスなどについて大変厳しい指摘を受けました。第三者委員会からのご指摘を真摯に受け止め、会社としての責任を痛感してます。何よりも会社としての救済が十分ではなかった結果、被害女性に大変つらい思いをさせてしまったことについて、心よりおわび申し上げます」とコメントしました。

 また「最後に、改めて被害女性にお詫びすると同時に、会社が調査を委託した第三者委員会の調査に協力してくれたことに対して、深く感謝を申し上げたいと思います」と述べ、「視聴者、ユーザーの皆さま、広告会社の皆さま、出演者、制作関係お取引先の皆さまなど、多くの皆さまにご迷惑とご心配をおかけしておりますことについても、この場を借りて深くおわび申し上げます」と陳謝しました。

 会見ではフジテレビの再生と改革に向けてのプランの説明も行われましたが、質疑応答では中居氏と女性Aさんとのトラブルやフジテレビ持ちで開催された会合や関係者の処分などについての質問が集中。

 外資系ホテルのスイートルームでの飲み会の経費約38万円について清水社長は「私ども調べでは番組のロケ等施設料として決済されていましたが、実態は報告書に書かれた通りで、『タレントとの交際費』『飲食会合』ということになります。名目上は、極めて不適切な経費申請だったと判断しております。今後は、弁護士の意見も確認の上、返金を求めることも含め、厳正に対処していく考えです」としました。

 また中居氏に対して刑事上、民事上の責任を問う可能性があるかを聞かれると「まずフジテレビとして真っ先にやらなければならないことは、人権デューデリジェンス、救済のメカニズム徹底などです。それをやることによって、信頼回復を一日でも早くすることが最優先事項だと思っております。この信頼回復事項をやりながら、その後にはあらゆる選択肢というものが、検討には残っていると考えております」とコメント。辞任した港浩一前社長については「一義的には監査役が判断することと考えております」と答えるにとどまりました。

 ねとらぼ編集部から「再生・改革に向けて」と題された配布資料に挙げられていた「経営理念・行動指針などの見直し」プランに関連しての質問を行いました。

ねとらぼ編集部:Xのトレンドでは「女性置き去り」がトレンド入りしており、先ほどの第三者委員会での報告もあった通り「共通して男性社員が女性を置き去りにして有力な出演者と女性だけの空間ができてハラスメント被害が起きた」とうことが社会から問題視されている状態です。その中で企業風土の改革の中では「フジテレビらしさ」の再確認・再定義というところが書かれていました。これはどういったものなのでしょうか。

清水社長:報告書で書かれている「置き去り」ということに関しては、報告書でも問題になっている社員Bがやっていることで、B以外のところではそのようなものは発見されておりません。これに関してはやはり内容を精査して、このようなことが許されることはありませんので厳正に対処していく考えであります。

 「フジテレビらしさ」の再確認については、今「フジテレビらしさ」というと企業風土が悪いんじゃないか。悪いものを再確認してどうするんだと解釈されてしまうかもしれませんが、ここで書かれている「フジテレビらしさ」というのは、今回このようなコンプライアンス違反が起こって改善していく中でかなりさまざまな策を用意して今考え得る最大の策を出しております。やもするとオーバーコンプライアンスになりやすいということも、実は専門家から指摘されています。「フジテレビが100パーセント悪い」という訳ではなく、その中にあった良さもなくなっちゃうじゃないかということで、その良さをちゃんと自分たちで確認してその良さは殺さないようにしなければならないというところを再定義しようというお話であります。

ねとらぼ編集部:本日の会見を長時間生中継していることの狙いについても教えてください。

清水社長:長時間編成されている狙いというものは、こういう重大な人権侵害が起こったことでございますから、私どもとしては(情報を)開示して説明する義務があると思っています。それで我われの悪かったところをどこまできっちりとさらけ出すことができるか、そしてそれに対する改善策が出せるかが大事だと思っているのでこのように生中継しておりますが、それをどのぐらいの程度やるのか(放送するのか)ということは現場で判断していることなので分かりません。

 第三者委員会によって、事案に対する対応から企業風土、リスク管理体制などについて厳しい評価を受けたフジテレビ。4月以降の業績回復の見通しについても「今見えてるかと言われれば見えていません」と述べる中、4月1日には入社式を迎えます。

 清水社長は「このような状況なので、今回出た報告書のこと、そして我々が今やっている経営刷新およびこの再生策と改善策などについては、人権問題、コンプライアンスの問題、非常に重要な問題なので、そういう意識を醸成するためにも、包み隠さずお話したいと考えています」「不安を持って入られる方には、明日は『不安を持たせてしまってすいません』と、素直に謝りたいと思っています」と語りました。

 また清水社長は女性Aさんに対して会見中何度も謝罪の意志を示しており、「私としては、就任以来真っ先に女性Aさんに対面し、お会いしおわびの意を伝えたいという意向を持っております。しかしながら、第三者委員会の方からは今調査をしてるところなので、調査に影響が出るといけないためこの調査結果が出るまでは、待ってほしいというふうに言われております」と状況を説明。「本日調査が終了しその報告を受け取りましたので、今後明日以降、私としては、女性Aさんの代理人弁護士先生のほうにコンタクトをしていきたいという意向であります」としました。

フジテレビ 中居正広
会見終了後、報道陣に深く頭を下げた清水社長
フジテレビ 中居正広
98媒体、265人の報道陣が詰めかけていた会見場

(Kikka)

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