松田元太の第一声「みんな〜!」の素晴らしさ。
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あの映画やBTSからの影響も
池田 以前から僕と監督はブレインストーミングをずっとやってきたので、好きなものがお互いに分かっていました。いい意味でわれわれの「フェチ」をふんだんに込められたのかなとは思いますね。
ーーそのフェチの部分は、例えばどのようなところなのでしょうか。
池田 例えば「らいおんくん」と、わたあめの「ゴッちゃん」が「くっついちゃって離れない」というアイデアは、われわれが好きな映画「ミッドナイト・ラン」の「手錠につながれた主人公2人の珍道中」から発想したものです。みんなが欠点を持っているのは「ポリスアカデミー」シリーズの影響も強いですね。さらに、われわれは韓国の音楽グループ「BTS」が好きなんですよ。最初にいくつかあげたプロット時点ですでにアイドルと言うアイデアがあって、そこにBTSっぽさを加えていった感じだったと思います。

(C)ギンビス (C)劇場版「たべっ子どうぶつ」製作委員会
竹 打ち合わせは「雑談」レベルでも話していたので、誰がどのアイデアを出したのかも、ほとんど覚えてないんですけどね(笑)。
ーーなるほど(笑)。そのBTSらしさも、劇中のたべっ子どうぶつのアイドルという発想につながっていますよね。
池田 もともとのたべっ子どうぶつにも、キャラクターそれぞれに「推し」がいて、「これはもうアイドルじゃん」と思いましたからね。
ーーしかも、実際にらいおんくんの声をTravis Japanの松田元太さんが務められていますものね。
池田 らいおんくんの第一声の「みんな〜!」って呼びかける声は、現役トップアイドルだから出せるリアリティーがあったと、音響監督の横田知加子さんが仰っていたらしいです。ほんと、素晴らしいキャスティングですよね!
映画オリジナルキャラの「ぺがさすちゃん」はなぜ生まれた?
ーー高石あかりさん演じる、「ぺがさすちゃん」という映画オリジナルキャラクターがいます。ネタバレになるので詳しくは言えませんが、物語を最後まで見れば、このキャラクターの意義が確かに分かります。それ以外で、彼女を創造した理由があれば教えてください。

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池田 これも、リモートの打ち合わせの時に須藤さんがぶっ込んできたアイデアで、ネットで見かけた「たべっ子UMA(ユーマ)」というパロディー記事を見せてくれて。学生の方によるもので、未確認生物の「UMA」、例えば「イエティやツチノコみたいなのがたべっ子どうぶつにいれば面白いよね」みたいな内容でした。
そこからヒントを得て、オリジナルキャラクターを作り上げることにしたんです。ほとんどの動物がギンビスさんによってキャラクター化されていますので、UMAに活路をみい出したわけです。しかも飛べるキャラクターがいいなと思い、ぺがさすちゃんを思い付きました。なぜぺがさすちゃんにしたのかは、物語を最後まで見ていただければ、その真の理由も分かると思います。
須藤 僕自身は、空飛ぶぺがさすは優雅なイメージもありますし、いまのたべっ子どうぶつにはいないキャラクターということで、ご提案しました。
裏テーマは「モフモフ感」
ーー3DCGアニメとしてのクオリティーもとても高かったです。こだわった部分がありましたら教えてください。
池田 われわれの他にも小荒井梨湖というクリエイティブプロデューサーが参加しているのですが、彼女が非常にこだわっていたのは「モフモフ感」で、「モフモフに包まれたい」というのが、本作の裏テーマになっているんですよ。たべっ子どうぶつたちの、つい触りたくなるようなモフモフ感の毛並みが生まれたのは、最後の最後までこだわり続けた小荒井さんと、アニメーターの皆さまのお力です。ストーリーのなかなか埋められなかった最後の最後を、「モフモフ感」で救ってくれた感じがあったんですよ。脚本上ちょっと乱暴なんじゃないかと思う部分も、モフモフで説得力を持たせられたのは、日本のアニメの力があってこそなんじゃないかと思います。

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竹 最初に須藤さんが「3DCGアニメでやりたい」と言ってくれたことも、ものすごく効いてますよね。2Dのアニメだと、モフモフ感を表現するのは本当に大変です。あんなにたくさん出てくるキャラクターを全部モフモフにするというのは、キャラクターの人数分「トトロ」を描くみたいなことですから、たぶん無理ですね。でも3DCGなら、しっかりモフモフ感をキープしつつ、たくさんキャラクターを活躍させられるんです。3DCGの手法で描くにはぴったりの企画でしたね。
ーー須藤さんも、そのモフモフ感を想定して3DCGを提案されたのでしょうか。
須藤 いやあ、そうなんですよねぇ(笑)。
池田 この顔はウソですね(笑)。
須藤 いやでも、2Dでは無理なんですね。
竹 少なくとも、2Dだとすごくお金がかかりますよ。3DCGにしていただいて良かったです。
「顔ハメパネル」が一瞬映っている?
※以下、劇中の一部の小ネタに触れています。
ーー本作は画面の隅々まで作り込まれていて、小ネタもたくさん仕込まれていると思います。例えば、ぞうくんが読んでいた本のタイトルが「MURDER IN ZOO(動物園での殺人)」と物騒なもので笑ってしまいました。
竹 あれはアニメのスタッフの遊び心が効いているところですね。ぞうくんはミステリーやサスペンスのファンという設定もあるんですよ。
池田 ぞうくんはかなり頭がいいキャラクターなので、その内面は広げられそうですよね。

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竹 他にも小ネタをあげるとしたら、「顔ハメパネル」がありますね。わたあめのゴットン軍団から追いかけられて、お城の外から隠れ家に行くまでのシーンは、本当はもう少し長かったんです。あのシーンの途中で、「たべっ子どうぶつの顔ハメパネル」が一瞬だけ映っているんですよ。彼らはあの世界のスターなので顔ハメパネルもあって、本人たちがそこに顔をハメて追っ手たちをやり過ごして……という流れが本編ではカットされたのですが、ちょっとだけ残っているんですよね。あのアイデアはやりたかったですねえ。

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池田 他にも現場のアニメーターの方たちがけっこう遊び心をいろいろと入れているので、劇中で映る壁にかかった絵をよく見てみるとさらに楽しいかもしれませんよ。
竹 小ネタも含めて、何回見ても楽しめる感じになっていると思いますね。