ねとらぼ
2025/06/21 10:30(公開)

美しいビオトープにアメリカザリガニが放流されたら…… 衝撃の変貌に「あんなキレイだったのに」「これは酷い」

 美しいビオトープにアメリカザリガニが放流され……。条件付特定外来生物が招いたとみられる、衝撃的なビフォーアフターがX(Twitter)に投稿されました。投稿は、記事執筆時点で2043万件以上表示され、10万件を超えるいいねを集めています。

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ビオトープに特定外来種「アメリカザリガニ」が?

 投稿したのは、水生昆虫を紹介する「ゲンゴロウ飼育ブログ」のXアカウント(@gengo6com)。写真は、東京・表参道駅近くの「ののあおやま」にあるビオトープ(生物が生息する環境を整えた空間)のビフォーアフターです。

 都営住宅団地の跡地を再開発した「ののあおやま」は、タワーマンション等の周りに大規模な緑地を持つエリア。緑地には水場にさまざまな生物が生息するビオトープがありました。

 投稿者さんは2022年10月に水草が良好に育ったビオトープを確認していましたが、2024年には「ザリガニが放されてビオトープが壊滅した」という内容の立て看板が掲示されるようになったそうです。

2022年時は水草が適度に育ち水も澄んでいる
2022年撮影時は水草が適度に育ち水も澄んでいる

 そして今回、2025年5月に再訪したところ、現状を伝える看板が掲示されていました。看板には、「一昨年秋にアメリカザリガニが発見されて以降、地域の子どもたちと一緒に植えた水草、メダカ、ヌマエビなどの生き物はほぼ全滅してしまいました」「自然に近い生態系を作るため、外来種に限らず生き物を放さないようご協力ください」と詳細に説明されています。なお、生き残ったヤゴやドジョウは保護されており、環境が整い次第戻されるそうです。

泥におおわれた“沈黙の小川”に
泥におおわれた“沈黙の小川”に

 水場を見ると、大きなサイズの草はまだ残っていますが水草は壊滅してしまい、水底は泥におおわれています。環境省は、アメリカザリガニによる被害を大きく3つに分けており、「在来種への直接的な影響」「種間相互作用、生態系全体への影響」「在来種への病気の媒介」と説明しています(参考:環境省「自然環境・生物多様性」)。

 また、アメリカザリガニは「条件付特定外来生物」として法律で規制されており、野外に放すことは罰則・罰金の対象となります(参考:環境省「日本の外来種対策」)。

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「あんなキレイだったのに」「これは酷い」

 衝撃的なビフォーアフターにリプライでは、「これはショック」「悲しいですね……」「飼えなくなったら自然に返せばいいとか間違った認識の人が多すぎる」「外来種が来るだけでこんな事になるんですね」「動物を野に放つことが善行だと考え、マジで悪気がない可能性があるのがタチ悪いんだよね」「外来種は最期まで飼いきることが大前提ですよね」「あんなキレイだったのに」「これは酷い」という反応が寄せられています。

 投稿者さんはそうした反応のいくつかに対し補足説明をしています。まず、タワーマンションの住人がアメリカザリガニを放したと推測する声について、この場所は一般公開されている場所なので住人が放したとは限らない、と投稿。

 また、水温上昇もビオトープ壊滅の一因ではないかという意見については、ここは小川の一部が池のように広くなった場所なので、水量も十分で木陰もあると説明しています。

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アメリカザリガニを別の議論に利用しないでという声も

 今回のアメリカザリガニの放流が話題になる一方で、ネットの一部では、移民問題をアメリカザリガニにたとえる投稿も見られます。これに対し、アメリカザリガニ問題に関する環境省の啓発イラストを手がけたウラケン・ボルボックス(@ulaken)さんは、「外国人排斥につながるような表現に、在来種と外来種を利用してはいけません」と自身の考えを伝えています。

画像提供:ゲンゴロウ飼育ブログ(@gengo6com

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