ねとらぼ
2025/06/08 12:00(公開)

エンドロール、ぼーっと眺めるのはもったいない? 同人誌が教えてくれた、作品を最後まで味わう方法

【連載:元司書みさきの同人誌レビューノート】同人誌『エンドロールを語りたい』をご紹介。

 「今週の9話、見た?」「このあいだ公開した映画良かったよ」なんて、アニメやドラマ、映像作品を見た後は語りあったり、その作品について思いを巡らせたり、作品のことをもっと知りたくなってきます。今回のご本は、そんな映像作品の最後を飾るエンドロールについて語る同人誌です。

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今回紹介する同人誌

『エンドロールを語りたい』B5 16ページ 表紙、本文モノクロ
著者:カタモトキザオ

エンドロールの見どころとは?
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映画も連続ドラマもゲームにも。エンドロールに注目

 このご本では映像作品の最後に監督さんや役者さんたちの名前が表示される“エンドロール”に着目しています。主に映画を中心に、テレビドラマやゲームでも示されるエンドロールを視聴者の立場から見ていきます。「並び順」「長さ」「演出」などといった項目に分けられた内容は、エッセイのように作者さんの視点がつづられ、読み進めるうち、そういえば自分はどんな風にエンドロールを見ていたっけ? とエンドロールの世界に入っていきます。ご本の構成として、シンプルなマンガと文章が交互に配置されているのも、肩ひじを張らずにページをめくるのに一役買っています。

エンドロールへの思いを語る!
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並び順、長さ、知っているモノ探し……たくさんのポイントを楽しむ

 ご本では「並び順」ならスタッフやキャストといった人々の役職のうち、どれが先に表示されるのかというところから作品への影響力を推し量り、「長さ」では関わる方々ができるだけ多く掲載されてほしいと願いつつも、あまりに長いと「エンドロールマニアですらも疲弊させる」と、いくつかの着目ポイントからエンドロールの果たす役割と、あるべき理想的な姿を探っていきます。

 作者さんは朝ドラを見ていたら偶然にも地元の町が協力として表示された経験を挙げて、自分に関係があるものをクレジットから見つけるといったお楽しみポイントも紹介。さらに地元の町がロケ地に、というスペシャルな例だけではなく、小道具協力で携帯電話の通信サービス会社が示されるケースに触れ、「自分の使っているキャリアかどうか、私はギャンブル感覚で確かめている」なんて楽しみ方は誰でもやってみることができそうな着眼点ですね! エンドロールが流れていくのを眺めている傍観者から、エンドロールにちょっぴり関わった気分で、観客にして参加者になるような、一歩踏み込んだ鑑賞方法に誘われます。

流れる画面から面白さを発見

エンドロールのその先に続くもの

 エンドロールへの語りを知ると、ではエンドロールは誰が、どうやって掲載内容を決めているのか? と気になってきました。また、エンドロールに表示される内容は監督さんや俳優さんだけでなく、時には上映館がクレジットされている作品もあるそうで、そうなるとエンドロールは作品のデータだけでなく、上映にまつわる事情や地域まで記録し、後世にこんな周辺状況だったと伝える貴重な情報源にもなり得ますね。エンドロールにはさまざまな情報が盛り込まれている面白さから、エンドロールって作品の終わりなのに、終わりのその先へ続いているんだ! という心持ちになりました。

記録が残り未来へつながるエンドロールかも

サークル情報

サークル名:映画を愛でる会
入手できる場所:Booth
次回イベント予定:COMITIA153(9月7日)、文学フリマ東京41(11月23日)(※抽選結果によっては不参加の可能性あり)
X(@KatamotoKizao
Webサイト

今週の余談

 みなさま、最近のガンダムをご覧になっていらっしゃるでしょうか。私はガンダムに決して詳しいとは言えないながらも、楽しく視聴しています。いろんな方から教えてもらうことも多く、魅力ある作品はもとより、監督さんや脚本家さんといった作り手側の役割も含めて咀嚼する面白さも味わわせてもらっています。

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