ねとらぼ

購入者を取材:ゴジラの胸像の注文者

 続いて取材をしたのは、ゴジラの胸像を注文していたGV(@godzillavictim)さん。破産開始決定についてはXでの情報で知り、その日の夜に「破産手続開始通知書」が届いたといいます。

歴代の胸像に比べ、背ビレの部分が大きいと話題になっていたゴジラの胸像(画像出典:CoolProps公式サイトより)

 ──破産を知った率直な心境をお知らせください。

商品の製造遅延を知らせる発表(画像出典:CoolProps公式サイトより)

 一方、同じ商品を購入した人の中でもゴジラの胸像を購入したロキ・ゴジ嫁(@ToYou1107)さんは、「(一連の問題は)Coolprops社の責任であり、東宝本社や東宝特撮美術に責任があるとは考えていない」との考えを示す一人です。

 取材の過程で、ロキ・ゴジ嫁(@ToYou1107)さんより破産手続き開始通知書の画像の提供をいただき、その内容を元に、ねとらぼ編集部は破産管財人に選任された桃尾・松尾・難波法律事務所の大江耕治弁護士を取材しました。

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関係者を取材:CoolPropsの破産管財人

──CoolProps側は商品は製造しており、倉庫に保管しているという説明をしていたようなのですが、製品の保管状況などは確認されていますか。

──ファンの中には、返金よりも製品の到着を求めている人も多いようです。そうした要望が叶う可能性はあるのでしょうか。

債権者あてに届いている通知書の内容(画像提供:ロキ・ゴジ嫁さん)
商品の引き渡しができない旨が記載されている(画像提供:ロキ・ゴジ嫁さん)

 大江弁護士によると、今後は債権者説明会が予定されているため、CoolPropsに直接代金を支払う形で商品を予約していたなどの債権者には東京地裁より通知書が送付されているとのこと。今回のトラブルの矛先が債権者である東宝に向かっていることなどについては心苦しく思っていることを明かし、直接予約をしていたのに通知が来ていない場合は、大江弁護士宛に連絡をしてほしいとしています。

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東宝・円谷プロダクションは「情報収集中」

 本件について東宝と円谷プロダクションに「いつからCoolPropsと連絡が取れなくなっているか。CoolPropsからは破産に関して説明があったか。今後の対応について」を問い合わせたところ、円谷プロダクションは取材に対してCoolPropsの破産手続が開始したことは把握しているとした上で、「弊社でも状況の確認を行なっているため、現状ではお答えすることがございません」と回答。

 東宝は「情報収集中のため、現時点では具体的な回答を差し上げることはできません」との回答を寄せました。

 一部の先払いや全額の先払いが一般的で、また、商品が遅延することも珍しいことではないという大型スタチュー商品ならではの慣例が招いたともいえる今回の問題。

 CoolPropsの内情を知る人たちからは、COVID-19の影響により、CoolPropsが委託先としていた中国の委託先工場が閉鎖したこと。主力商品だった「AVP: エイリアン vs プレデター」のプロップについて当初は20世紀フォックスからライセンスを得られていたものの、2019年にディズニーが20世紀フォックスを買収したことからライセンスが変更が発生し、予定していた商品が販売できなくなってしまったこと。代表者の変更が発生したことなどから「近年の資金繰りはかなり厳しかったのではないか」との声も上がっており、落胆の声は広がり続けています。

 また今回の破産申請を受けて、スタチューメーカーへの前払いを躊躇する人が増えているのも事実。SNSでは別メーカーの商品購入を検討していた人たちが本件の問題をきっかけに、商品の購入中止を検討したり、前払いに恐怖を感じたりしている様子も投稿されており、スタチュー業界全体に影響を及ぼしている様子です。

(Kikka)

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