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購入者を取材:ゴジラの胸像の注文者
続いて取材をしたのは、ゴジラの胸像を注文していたGV(@godzillavictim)さん。破産開始決定についてはXでの情報で知り、その日の夜に「破産手続開始通知書」が届いたといいます。

──破産を知った率直な心境をお知らせください。
GV:一生に一度の贅沢品、そのつもりで思い切って何とか購入した商品でした。「部屋で毎日ゴジラが見られる」そんな風にワクワクしていたのがこんな状況になり、正直、ゴジラや東宝という文字を見るだけで苦しくなります。東宝ゴジラ商品を購入して、こんな法的書類が送られ、 40万円が奪われるなんて、信じられない気持ちです……。
──CoolPropsは商品の発送遅延についてどのように説明していたのでしょうか。
GV:メールにて、梱包や国内輸送が遅れているだけだという通知が来ていました。個別への問い合わせにもそのように返信がありました。

──ゴジラの胸像についてはCoolPropsへの直接予約になっていると伺いました。購入の経緯はどのような物だったのでしょうか。
GV:東宝公式YouTubeで紹介されていたほか、ゴジラストアtokyoの店舗では実物の展示とともにQRコードから予約できる展示もあったので、安心して購入しました。
──東宝とは何らかのやり取りはできていますか。
GV:商品遅延のタイミングでゴジラストア宛にメールをし、CoolPropsの破産を知った後に東宝にフォームで連絡をし、商品を共同開発していた東宝映像美術にも連絡をしましたが、6月14日時点において明確な返答はありません。
類似事例のウルトラマンの胸像に関してはツブラヤストアが返金対応するみたいだという情報を見ましたが、現状東宝は問い合わせの返信もアナウンスもしていない状況です。
(今回の販売元はCoolPropsですが)ゴジラの胸像の発売に際しては、東宝・東宝映像美術・CoolPropsのロゴ入りで商品展開していましたし、東宝公式YouTubeやゴジラストアでの実物展示と商品予約ページの宣伝、ゴジラ公式Twitterでの商品宣伝ポストと東宝は積極的に動いていました。
このまま放置されるのであれば、もう東宝・ゴジラのロゴが入った商品は絶対に信じられませんし、予約商品に関しては一律「返金・キャンセル」が可能としてもらえないと消費者側にリスクがありすぎると思っています。
一方、同じ商品を購入した人の中でもゴジラの胸像を購入したロキ・ゴジ嫁(@ToYou1107)さんは、「(一連の問題は)Coolprops社の責任であり、東宝本社や東宝特撮美術に責任があるとは考えていない」との考えを示す一人です。
取材の過程で、ロキ・ゴジ嫁(@ToYou1107)さんより破産手続き開始通知書の画像の提供をいただき、その内容を元に、ねとらぼ編集部は破産管財人に選任された桃尾・松尾・難波法律事務所の大江耕治弁護士を取材しました。
関係者を取材:CoolPropsの破産管財人
──CoolProps側は商品は製造しており、倉庫に保管しているという説明をしていたようなのですが、製品の保管状況などは確認されていますか。
大江弁護士:CoolPropsの代表者に聞き取りを行ったところ、同様の説明があった商品もありました。現在はどの商品がどういった状態か、製造委託先も含めて詳細を調査しています。
──ファンの中には、返金よりも製品の到着を求めている人も多いようです。そうした要望が叶う可能性はあるのでしょうか。
大江弁護士:商品の在庫があるかどうか、また、製造委託先に対して製造代金の支払いを行なっているかなど、詳細を調査中ではありますが、仮に商品が見つかったとしてもそうした在庫は破産法の手続きに従って換金したり処分したりすることになります。その過程で現金化できたものを法律に則って債権者に分配するという流れになるため、残念ですが購入者に製品を引き渡すことはできません。


大江弁護士によると、今後は債権者説明会が予定されているため、CoolPropsに直接代金を支払う形で商品を予約していたなどの債権者には東京地裁より通知書が送付されているとのこと。今回のトラブルの矛先が債権者である東宝に向かっていることなどについては心苦しく思っていることを明かし、直接予約をしていたのに通知が来ていない場合は、大江弁護士宛に連絡をしてほしいとしています。
東宝・円谷プロダクションは「情報収集中」
本件について東宝と円谷プロダクションに「いつからCoolPropsと連絡が取れなくなっているか。CoolPropsからは破産に関して説明があったか。今後の対応について」を問い合わせたところ、円谷プロダクションは取材に対してCoolPropsの破産手続が開始したことは把握しているとした上で、「弊社でも状況の確認を行なっているため、現状ではお答えすることがございません」と回答。
東宝は「情報収集中のため、現時点では具体的な回答を差し上げることはできません」との回答を寄せました。
一部の先払いや全額の先払いが一般的で、また、商品が遅延することも珍しいことではないという大型スタチュー商品ならではの慣例が招いたともいえる今回の問題。
CoolPropsの内情を知る人たちからは、COVID-19の影響により、CoolPropsが委託先としていた中国の委託先工場が閉鎖したこと。主力商品だった「AVP: エイリアン vs プレデター」のプロップについて当初は20世紀フォックスからライセンスを得られていたものの、2019年にディズニーが20世紀フォックスを買収したことからライセンスが変更が発生し、予定していた商品が販売できなくなってしまったこと。代表者の変更が発生したことなどから「近年の資金繰りはかなり厳しかったのではないか」との声も上がっており、落胆の声は広がり続けています。
また今回の破産申請を受けて、スタチューメーカーへの前払いを躊躇する人が増えているのも事実。SNSでは別メーカーの商品購入を検討していた人たちが本件の問題をきっかけに、商品の購入中止を検討したり、前払いに恐怖を感じたりしている様子も投稿されており、スタチュー業界全体に影響を及ぼしている様子です。
(Kikka)