ねとらぼ
水生昆虫
2025/07/17 22:00(公開)

絶滅危惧種でまぼろしの水生昆虫をガサガサで狙うと……“うおおおーーー!!” 2年越しの光景に反響「眼福です」「おめでとう」

 絶滅危惧種にもなっており、ごく限られた場所にだけ生息している貴重な水生昆虫を採取しに行ったら……過酷な環境にも負けず、2年越しに夢を叶えた様子がYouTubeに投稿されました。動画には、「眼福です」「相変わらず大きいなぁ」といったコメントが寄せられています。

絶滅危惧種にもなっていて限られた場所で生きるとても貴重な水生昆虫採集が過酷すぎた#ガサガサ

 動画を投稿したのは、宮城県丸森町在住のシンガーソングライター・Taeさん。Taeさんは昆虫をはじめとした生き物が大好きで、YouTubeチャンネル「たえたそちゃんねる」には昆虫を捕獲・飼育する様子などを投稿しています。以前は頭の上に、黄色くてドロドロした謎の液体が落ちてきた時の話を紹介しました。

 今回は2年ぶりに、絶滅危惧種にもなっている“とある”貴重な水生昆虫を探しにいくようで……?

advertisement

数を減らしている水生昆虫

 この日Taeさんは佐々木先生(@weaponshouwa)とカメラマンとともに、ある山にやってきました。今回狙っているのは水生昆虫の1種、「エゾゲンゴロウモドキ(通称:エゾゲン)」。エゾゲンゴロウモドキは大型のゲンゴロウの仲間で、日本では北海道や本州の北部に分布しています。

 Taeさんによるとゲンゴロウの仲間はもともと、日本全国の田んぼやため池、林などに生息していたそうです。しかし今では多くの地域で数を減らしていて、種類によってはすでに絶滅していると考えられている地域もあるのだとか。

 ゲンゴロウの住みかである水路が整備され、田んぼには化学肥料や農薬が使われるようになったところに、外来種も侵入。エサとなる生物が食べられたり、隠れ家にしていた植物が減ったりして、ゲンゴロウの住む環境が悪化しているのだそうです。

 さらに販売目的の大量採取も、数が減った原因とされているのだとか。なお現在は絶滅の恐れがあることから、ゲンゴロウの仲間を販売目的で採取することは禁止されています。

advertisement

激レアな水生昆虫・ゲンゴロウモドキ

 ゲンゴロウの現状を説明した後は、今回探していくエゾゲンゴロウモドキに関するお話です。エゾゲンゴロウモドキも絶滅が心配されていて、環境省のレッドリストでは「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」に分類され、販売や頒布等を目的とした行為を規制する「特定第二種国内希少野生動植物種」にも指定されています。

今回探す昆虫の名前は「エゾゲンゴロウモドキ」
今回探す昆虫の名前は「エゾゲンゴロウモドキ」です

 そんなエゾゲンゴロウモドキは「ゲンゴロウ(別名:ナミゲンゴロウ、通称:ナミゲン)」より標高が高い山よりのところかつ、冷たい水が常に流れ込んでいるような場所を好み、平地ではあまり姿を見ることはないのだとか。

 Taeさんは2年前のガサガサでエゾゲンゴロウモドキのメスを発見したものの、まだオスを発見したことがないそうです。今回はエゾゲンゴロウモドキのオスとメス両方見ることを目標に、ガサガサをしていくとのこと。なおエゾゲンゴロウモドキは性別で見た目が大きく異なり、メスは体に縦の筋がたくさん入っていて、オスは体がつるっとしているそうですよ。

advertisement

ゲンゴロウモドキを探せ!

 出発後すぐ、スズメバチやクロサンショウウオの卵を発見。早速ガサガサをスタートし、ハシリクモやしっぽが切れたクロサンショウウオ(?)を見つけたと思ったら……。

まずはクロサンショウウオの卵がお出迎え
まずはクロサンショウウオの卵がお出迎え
クロサンショウウオだと思われる生き物も発見
クロサンショウウオだと思われる生き物も発見

 開始早々、佐々木先生がエゾゲンゴロウモドキのメスを発見しました。間近で見てみると事前に説明してくれた通り、体に筋が入っていることが確認できます。

こちらがエゾゲンゴロウモドキ、背中に筋があるためメスだと判断できます
こちらがエゾゲンゴロウモドキ、背中の筋でメスだと判断できます

 その後も引き続きガサガサをしていると、カメラマンさんがトウホクサンショウウオの卵を、佐々木先生がシュレーゲルアオガエルの卵を発見。Taeさんが写真を撮ろうとしていたところ、佐々木先生が2匹目のエゾゲンゴロウモドキのメスを発見しました。

シュレーゲルアオガエルの卵がありました
シュレーゲルアオガエルの卵がありました
佐々木先生がまさかの2匹目を捕獲
佐々木先生がまさかの2匹目を捕獲

 エゾゲンゴロウモドキは体から白い液を出すことがありますが、これは敵から身を守るための”臭い汁”なのだそうです。その汁は人間の皮膚に付いても、なかなか匂いが落ちないのだとか……。なおその匂いは臭いけれど、癖になりそうな匂いなのだそうですよ。

エゾゲンゴロウモドキのメス、大きいです
エゾゲンゴロウモドキのメス、大きいです

 その後またTaeさんが写真を撮ろうとしたタイミングで、佐々木先生がエゾゲンゴロウモドキのオスも発見。間近で見てみると確かにメスとは違って体に筋がなく、全体的につるっとしています。性別でこれほど見た目が違うのは、なんとも面白いですね。

臭いけれど、癖になる?匂いなのだとか……
臭いけれど、癖になるかも?な匂いなのだとか……

 エゾゲンゴロウモドキのオスとメスを同時に見るという夢は叶ったものの、Taeさんも自力でエゾゲンゴロウモドキを捕獲したい様子。疲労と腰の痛みと戦いつつ、ガサガサを続けていきます。

 その後ツチガエルやヌマエビ、ヒメゲンゴロウなどが網に入りますが、目的のエゾゲンゴロウモドキはなかなか姿を現してくれません。必死に頑張りつつ、そろそろラストチャンスな気持ちでガサガサを続けると……ついにエゾゲンゴロウモドキのメスを捕獲することに成功したのでした。

自力で念願のエゾゲンゴロウモドキをゲット!
自力で念願のエゾゲンゴロウモドキをゲット!

 その後一行は、この日捕獲した生き物たちを現地でリリース。これらの生き物は持ち帰ってはいけないわけではないけれど、環境が変わるとすぐに死んでしまうので、キャッチアンドリリースを心がけましょうと締めくくりました。

エゾゲンゴロウモドキのオス、つやつやです
エゾゲンゴロウモドキのオス、つやつやです

「自力ゲットおめでとう」「相変わらず大きいなぁ」の声

 動画には、「自力ゲットおめでとうーーーー」「ゲンゴロウって一番好きな昆虫なので眼福です〜」「ゲンゴロウ相変わらず大きいなぁ~子供の頃ガムシ大きいと思ってたけど確実にガムシより大きい」といったコメントが寄せられています。

 Taeさんは同チャンネルとX(旧Twitter/@tae_chuber)に、昆虫愛にあふれた動画や写真を多数投稿しています。

生き物パラダイスな池でガサガサをしていたらとんでもない事件が起きました
激レア!青く光る小さなクワガタを探しにとんでもなく山奥へ行ったら
突然訪問してきたカメラマンにとんでもない虫を押し付けられた

画像提供:YouTubeチャンネル「たえたそちゃんねる

※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

関連タグ

Copyright © ITmedia Inc. All Rights Reserved.