ラベルに書かれたコンセプトの意味不明さに定評のある、群馬県太田市のクラフトビール「CHROA(クロア)」の新作が2年振りに発表されました。今回のテーマはどうやら、「近年のネット社会に物申すパンダ」とのことです……どういうこと?

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その名も「ラリアットパンダ」

 CHROAは、ミュージシャンとホームレスを経て世界的ファッションホイールデザイナーとなった異色の人物、片岡達也(@kataoka12201905)さんがプロデュースを手がけるブランド。新作が出るたびに「麦芽娘のヘブン状態な味わい」「日本刀持ったライオンに追いかけ回される味わい」など、缶に書かれた詩的で難解な商品説明が話題を呼んできました

プロデューサーの片岡達也さん

 2025年の新作発表に先駆けて、公式X(Twitter)アカウントは「この夏、久々の新ビール登場」と、スチームパンク風味の猫画像を添えて予告。ところが、実際に発売される商品の名は「LARIAT PANDA(ラリアットパンダ)」でした。猫要素……どこ?

告知時は猫でした
実際の商品はパンダ。なんで?
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思わず「なんだこれ」といいたくなるコンセプト

 ラベルには鋭い目つきに怒りの感情をのぞかせるパンダの姿が。裏側に目を向けると、「行き場をなくした電波たちが群馬に向かってる」と、冒頭からカッ飛ばしまくった文章がなだれてきます。以下に全文引用しますが、頑張って読んでみてください。

行き場をなくした電波たちが群馬に向かってる。インターネッツで女心を開くパスワードを探す現代人に、苛立(いらだ)つパンダが「女心は顔認証だぜ」と囁(ささや)き一撃ラリアットする味わい。
言いたい事も言えないこんな世の中はポイズンだが、言いたい事もないのにSBSで無理に言おうとしてるお前こそポイズンとこのホップは教えてくれる。

(ラリアットパンダのラベルより引用)
表はオシャレだけど……
裏側はぶっ飛んだメッセージ

 思わず「なんだこれ」と言ってしまいそうな思いを抑えつつ、せんえつながら解釈を試みたところ、どうやら怒りの矛先はネットの風潮のようです。「言いたい事も言えないこんな世の中はポイズンだが、言いたい事もないのにSBSで無理に言おうとしてるお前こそポイズン」と、反町隆史さんの「POISON ~言いたい事も言えないこんな世の中は~」を引用しつつ風刺しています。意味は分からないでもないですが、そのメッセージをパンダのラリアットに託す意味はよく分かりません。

 フレーバーの説明も「インターネッツで女心を開くパスワードを探す現代人に、苛立(いらだ)つパンダが『女心は顔認証だぜ』と囁(ささや)き一撃ラリアットする味わい」となかなか難解。言葉通り受け止めれば、のどにハンセンの太い腕が食い込むがごとき、刺激的な辛口の予感がします。とはいえ、ラベルの情報だけで全てをくみ取るにも限界があるので、CHROAプロデューサーの片岡さんに直接聞いてみました。

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コンセプトに込めた思いを聞いてみた

―― 新作のラベルに込めた思いについて教えてください

片岡達也さん(以下、片岡さん) 「不沈艦」と呼ばれたレスラー、スタン・ハンセンがウエスタン・ラリアットをぶちかます――そのスタイルを現代のネット社会に投影してみました。

―― 「ラリアットパンダ」とは何者なのでしょうか?

片岡さん 顔の見えないネット社会が生み出した、ゆがみを正そうとする群馬の暴君です。

―― やはり「ラリアット」のような、パンチのある風味なのでしょうか?

片岡さん ビアスタイルはIPAという独特なものです。このラリアットが一発ものか、クセになるのか受けてみてください。


 IPA(インディア・ペールエール)とは、大量に使用されたホップの強い香りや苦味が特徴的なビアスタイル。アルコール度数も高めで、やはりパンチの効いたテイストが予想されます。「受けてみろ」と挑発するレスラー的な意図が込められた「ラリアットパンダ」は、8月8日発売です。

※画像提供:CHROA@love_chroa