5年前や10年前……。少し前にインターネット上で話題になった投稿や動画を振り返って紹介する企画「昔のインターネット発掘!」。今回は2023年5月にYouTubeへ投稿された、ガンプラを“ガチ改造”して絵画風に塗装する動画を紹介します。技術のたしかさと見事な完成品が反響を呼び、記事執筆時点までに13万回以上再生され、2300件以上のいいねを集めています。

絵画のように見えるけど……
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旧キットの「1/100百式」を“ガチ改造”する

 投稿したのはモデラーのペーパーナイフさん。ガンプラの旧キットを得意とし、筆塗りオンリーの絵画のような作風で製作する様子をYouTubeチャンネル「ペーパーナイフのプラモチャンネル」で公開しています。

 動画では旧キットの「1/100百式(1/100 MSN-00100 100式)」を“ガチ改造”。百式が登場する『機動戦士Zガンダム』の思い出を語りながら、まずはパーツをランナー(枠)から切り離していきます。

旧キットの百式を“ガチ改造”した作品

 ガンプラでいう“旧キット”とは、1990年代半ば以降に展開された「MG」「PG」「HGUC」以前のガンプラのこと。現在のガンプラと比べ、クオリティーが物足りないと感じる人も多いようです。

旧キット「1/100 MSN-00100 100式」のパッケージ
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まずは説明書通りに組み立ててみる

 まずは説明書通りに組み立ててみます。この時、後の改造も考えて接着剤は点状に付け、軽く接着しておきます。組み立てを完了すると、旧キットのガンプラにありがちな“ずんぐりむっくり”感のあまりない、いいプロポーションをしていました。

 ペーパーナイフさんは「このまま完成させてもいいかもしれない」としつつ、気になる部分もあるとのこと。

 まず、肩幅が広くてボリュームがあるのでこれを縮小。また、胴体と腰が一体になっていてひねりポーズをとれないので、腰で分割して関節を追加。胴体も少し延長して上下の寸詰まり感の解消を図ります。

 股関節は保持力と可動性の向上のためボールジョイントに変更。立たせたときにしっかり接地できるよう足首もポールジョイントに変更します。あとは大きなスリッパのような足を縮小させます。

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シャープ化と可動性の向上を図る

 改造箇所が決まったところで作業開始。まずは大きなスリッパのような足のパーツを3ミリ幅ずつカット。ヤスリをかけてから接着すると、幅6ミリ減のシュッとした見た目に変わりました。足裏のパーツも同じように幅詰めして組み立てます。

ニッパーで幅を詰める
左が改造後、右が改造前

 胴体は切断する腰の部分にデザインナイフで傷をつけ、そこへエナメル溶剤を流し込んでプラスチックをもろい状態にします。10分ほど置いてからデザインナイフでカットしてみると簡単に切断できました。

 腰のパーツ内部には、ボールジョイントを固定する土台となる、プラ板を重ねて作った直方体状のパーツを固定。そこへボールジョイント設置用の穴を開けます。一方、太もも側にもボールジョイントを受ける構造を作成しておきます。

 胴体部分を幅詰めしてよりシャープに変えたら再び足へ戻り、ボールジョイントとプラ板で作ったパーツを内部へ設置。足首側の関節を少し加工して挿入すると、柔軟に可動する足首の完成です。

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クレイバズーカはプラ板で自作

 頭部も改造しておきます。ヘルメット部分と顔を切り離し、ヘルメットは前後にプラ板の厚さだけ延長。顔をヘルメットの少しだけ奥に再接着すると、見た目がグッといい感じになります。

 その他、細かいところを調整して組み立ててみると、かなりシャープな印象に変わったことがわかります。めっちゃカッコよくなってる……!

ビフォーアフターで比較

 腰の関節は横ねじりだけでなく腰を反らす動きもでき、さまざまなポージングをとれます。首にも関節軸を追加したので、あごを引いたり上を向いたりできるようになりました。

 また、バックパックを少し後ろに移動させ、その両サイドに立つバインダーも後ろに傾くようにしています。改造前の状態では肩を動かしたときに肩パッド部分とバインダーがぶつかっていましたが、この改造によりその心配はなくなりました。その他、このキットに入っていないクレイバズーカをプラ板で自作しておきます。

プラ板でゼロから自作したクレイバズーカ
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メタリックカラー不使用でゴールド感を出す

 改造を終え、組んだ状態を確認したところで塗装作業に移ります。先に黒の下地剤を吹き付けた上に平筆でベースカラーを塗装していきます。

 最終的な塗装イメージは、2003年のゲーム『機動戦士Ζガンダム エゥーゴvs.ティターンズ』でのメタリックゴールドなビジュアル。しかし、あえてメタリックカラーの塗料は使わず、グラデーションで表現することにします。

 ひと通りベースカラーを塗ったら、リアルタッチマーカーでざっくりと影を入れて綿棒で伸ばします。この影はこの後の塗装での目安となります。

 アクリルガッシュという塗料を混ぜて色を作り、グラデーションを入れていきます。このとき筆を動かす方向を考えながら影との境界をぼかすよう心がけます。また、パーツの角にあたる部分にはハイライト(明るい部分)を入れて立体感を強調します。プラモデルの塗装というよりは絵を描いているかのようです。

グラデーションを入れていく
角の部分にハイライトを入れていく

 最後に、百式のトレードマークである「百」の文字を手書きで肩に入れたら塗装は終了。再びすべてのパーツを組み上げたら、重厚なゴールド感がカッコいい百式の完成です!

達筆の「百」
重厚なメタリック感がたまらない!

「今まで見てきた百式の中で一番かっこいいです︎!!」

 カッコいいスタイリッシュなボディーと、メタリックカラー不使用とは思えない重厚感ある塗装の百式に「黄色なのにゴールド感がやっべぇぞ すごい技術ですね」「油絵から飛び出してきたような美しい色彩の塗装に脱帽です」「色を作る技術も塗る技術も凄く、絵を見ているような錯覚が起きているみたいです」「金色じゃないのに金色に見えるし、プラモの塗装というより絵画みたいですごいです!」「ものすごく綺麗な“百”を肩に一発手書きしたのが一番感動しました」と称賛と驚きの声が寄せられています。

 また、“ガチ改造”について「今まで見てきた百式の中で一番かっこいいです︎!!」「旧キットにこれだけクオリティーを出せる改造がスゴすぎる」「サラッと紹介されているクレイバズーカの自作もすごい!」という反応が見られました。

 同チャンネルではこの他にも、ガンプラ旧キットの“ガチ改造”や筆塗りを紹介する動画が公開されています。

ガンプラ旧キットの“ガチ改造”

画像提供:YouTubeチャンネル「ペーパーナイフのプラモチャンネル