学生のみなさんは夏休み、アルバイトを始めてみる方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回のご本は、かわいいもふもふがさっぱりするのをお手伝い! アルパカの毛刈りの仕事に参加された体験記です。
今回紹介する同人誌
『アルパカの毛刈りバナシ』B6 18ページ 表紙・本文2色刷り
著者:トモロ
「毛刈りは夏の風物詩」を体感する
アルパカはふわふわの毛に包まれた首を優雅に伸ばして暮らしていて……というイメージでしたが、人間だってまいってしまうほどの熱い日本の夏。アルパカも夏には散髪のようにさっぱりと毛刈りするのだそうです。
初夏ごろからが毛刈りのベストシーズンとのことで、気温の上昇に伴って日本の各地で作業が行われ、作者さんはそれを「夏の風物詩」のように思っていらっしゃるのだとか。もふもふからすっきりへ……アルパカにも夏のスタイルがあるのですね。
このご本は、羊やアルパカの毛刈りを専門にされているプロフェッショナルのお手伝いをされた、2023年の経験をもとに書かれています。
毛刈りにあふれる愛らしさ
もともとアルパカが好きな作者さん。作業では主に爪切りを担当し、3日間で200頭程度を受け持ったとのこと。ご本では、毛を刈るのはアルパカの健康上としても重要な意味があるという視点や、爪の構造、刈られた毛の行方にも言及するアルパカ知識の共有と、毛刈りを仕事として取り組む体感、毛刈りの様子の観察などリアルな現場レポートにより、なぜ? どうして? そしてどうやって? と気になるポイントが、文章とイラストでまとめられています。
もこもこの姿から、毛が刈られて見えてくる優美な手足のラインなど、読んでいるだけで、アルパカってかわいい! 愛らしい! という気持ちが高まります。そして同時に、アルパカの毛刈りは簡単な作業ではなく、それを的確にこなしていくのはアルパカを大事に思う気持ちがあるのではと思えてきました。
実体験からにじむ生き物と向き合うということ
ご本から、毛刈りというダイナミックな作業の中でも、アルパカについて考えたポイントがそこここにあると読み取れます。例えば、使用する道具をきちんと手入れしてケガをさせるリスクの軽減につなげる、作業するときの体制にもアルパカに影響が少ないようにと配慮されているなど、細やかなポイントがいくつも示されています。
一方で、やはり嫌がるアルパカがじっとしていないなどの状況も同じようにあちらこちらから分かります。けれど、それでも……それでもアルパカっていいなぁ! という気持ちが、ご本全編を覆っているんです。
人と動物が共に生きるということについて思いをはせるエッセンスと、アルパカのかわいらしさの両方を、おしゃれで軽快なご本から感じました。
サークル情報
サークル名:トモロ
入手できる場所:Booth
X:@tomatomoto_s
Instagram:@tomatomoto_s
今週の余談
共にあるということは、暑い日も寒い日もいっしょに居るということで。毛刈り作業から、いろんな季節のアルパカを思い浮かべました。黒い紙に特殊インクと赤い糸、本文の色替えやインクの色といったカラフルさもステキなご本です。
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