イネをはじめとした農作物を食べてしまうことから、全国各地で問題となっている外来種の巻き貝・ジャンボタニシ。そんなジャンボタニシが暮らす水槽にブラックバスを投入した様子が「すごい」「恐ろしや」とYouTubeで話題です。動画は記事執筆時点で20万回以上再生されています。

大量ジャンボタニシ水槽にブラックバスを投入するとスゴかった…

全館訪問取材 中村元の全国水族館ガイド 125

中村 元
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 動画を投稿したのは、自然や生き物の姿を発信しているYouTubeチャンネル「真釣ちゃんねる」のまつりさん。以前には、世界最大種の肉食魚をお迎えしてから10カ月後の様子を紹介しました。

 今回は、自宅の水槽で飼育しているジャンボタニシ(スクミリンゴガイ)について、ある検証を行っていくようで……?

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ジャンボタニシの繁殖力

 この水槽にいるジャンボタニシは、まつりさんがもともとゴミなどを使って汚いドブ川を人為的に再現した「ドブ川水槽」で飼育していた個体です。最初は6、7匹ほどだったはずが卵を産んで増えまくってしまったため、こちらの水槽に移したのだとか。

こちらがドブ川水槽

 ジャンボタニシには性別があり、オスとメスが交尾しないと繁殖しません。そのためアルビノの個体1匹だけを残しているドブ川水槽で卵が発見されることはありませんが、たくさんの個体がいるジャンボタニシ水槽では日常的に卵が産み付けられているそうです。

右上のピンク色の物体がジャンボタニシの卵です

 とはいえ増えすぎてもどうしようもないため、卵は水槽の掃除をするときに処理しているのだとか。なお、小さな個体は一度冷凍してから、ペットとして飼育していて貝が大好物のトカゲ・カイマントカゲやカメたちのエサとして活用しているそうです。

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ジャンボタニシのすさまじい食欲

 ジャンボタニシは南米原産の淡水で暮らす巻き貝で、日本では田んぼのイネを食い荒らす外来種として知られています。まつりさんは庭から取ってきた雑草をエサとして与えていますが、とても食欲が旺盛で、毎回あっという間に食い尽くしてしまうそうです。

 そんなジャンボタニシの仲間は水槽のコケ取り要員としても利用されていて、ペットショップでは「アップルスネール」という名前で販売されています。そういった背景から草食だと思われがちなジャンボタニシですが、実は肉も食べる雑食性の生き物とのこと。そこで、このジャンボタニシ水槽に肉を投入したらどうなるのか検証してみようと思ったのだそうです。

ブラックバスの幼魚を水槽に投入してみます

 水槽に投入するのは、こちらも外来種として知られるブラックバス(オオクチバス)の幼魚です。まつりさんは捕獲した外来生物はリリースしない主義。自分で飼育するか、飼育している生き物たちのエサとして活用しているそうですよ。

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水槽にブラックバスを投入!

 ジャンボタニシはブラックバスを丸ごと1匹食べられるのか、硬いウロコやヒレが付いたまま水槽へと投入してみます。するとすぐに1匹のジャンボタニシがやって来て、早速頭にかじりつき始めました。

早速ジャンボタニシが近づいてきました

 まつりさんによるとジャンボタニシの口には歯車のような回転式の歯があり、コケなどを削り取って食べているとのこと。ウロコは取った方がよかったかもしれないと話しつつも、あの機械のような歯を使ってウロコもヒレも食べてしまう可能性があるため、いったんそのまま様子を見ることにします。

ジャンボタニシの口元、なかなか強そうです

 40分後。投入したブラックバスには、ジャンボタニシがびっしりと群がっていました。どうやら内臓などにおいが強い部分にひかれるようで、内臓周辺はだいぶ食べられています。これだけ肉に群がるということは、魚以外にも誤って田んぼに落ちてしまったネズミやモグラなどの小動物、鳥なども食べているのかもしれません。

ブラックバスに群がるジャンボタニシたち

 ジャンボタニシたちはその後も休むことなく、黙々とブラックバスを食べ続けているようです。3時間後に再び様子を見ようとしましたが、ブラックバスにはジャンボタニシが群がりすぎていて、どんな状態になっているのか確認できません。

 ここでピンセットを使い、ジャンボタニシごとブラックバスをつまんでみると……ブラックバスのおなかの中は空っぽで、尻尾の方はすでに骨になって目や皮がなくなっていました。すさまじい食欲ですね。

3時間後には柔らかい部分が食べ尽くされていました
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翌日、ブラックバスは……?

 翌日。水槽をチェックしてみると、ブラックバスはほとんど骨だけになっていました。それでもまだ食べている個体がいるところを見ると、ジャンボタニシは頭蓋骨や背骨などの太くて大きな骨を除いて細い骨であれば問題なく食べられるのかもしれません。

翌日、ブラックバスはすっかり骨になっていました
1日でここまで食べてしまうとは……まさにお見事の一言です

 ブラックバスの骨を水槽から慎重に取り出してみました。間近で観察してみると、柔らかい目や内臓はもちろん、分厚くて硬いエラや口の中までキレイに食べ尽くされています。ジャンボタニシは魚を丸ごと食べ、たった1日で骨にしてしまうほどのすさまじい食欲と力を持ち合わせているのですね。

ブラックバスは骨格標本のようになっていました

 最後にまつりさんは「予想以上の食べっぷりだった」と話しつつ、今後はもっと大きな魚や別の肉などを与えてみたいと話します。ジャンボタニシは害があるため嫌われてしまいがちですが、観察してみると面白く、生き物のエサや釣りエサとしても有用な生き物です。彼らが生態系へと与える影響を把握した上で適切に付き合い、利用していけるといいですね。

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「あら、きれいに食べて」「まるで骨格標本や〜」と反響

 この動画のコメント欄には「あら、きれいに食べて」「ブラックバスがジャンタニをバリバリ食べる動画かと思ったら逆だった……」「骨格がくっきりと現れましたね」「まるで骨格標本や~」「とても参考になる」「このチャンネル見てるとあらゆる生き物がかわいく見えてきて困る」といった声が寄せられています。

 まつりさんは、飼育しているたくさんの生き物たちの様子をYouTubeチャンネル「真釣ちゃんねる」で公開中です。

「真釣ちゃんねる」動画まとめ

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動画提供:YouTubeチャンネル「真釣ちゃんねる