ねとらぼ
2025/08/19 08:30(公開)

サムネ詐欺!? ボカロP、2種類のMVを同時公開→にじみ出る才能に「すごい人に出会った気がする」「技術力に感服」

 楽曲評価にサムネイルはどれほど影響するのか……。VOCALOIDの音楽クリエイター(ボカロP)が検証した動画がYouTubeで話題に。この動画は記事執筆時点で42万回以上再生されており、多くの話題を集めています。

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サムネイルが違うとどうなるのか?

 投稿者はボカロPとして活動している「Kわとそん / Kuoniell・Watson」さん。今回の企画に向け、約120時間かけて描いた“本気版”イラストと、わずか10秒で描いた“即席版”イラストの2種を用意しました。

 検証方法は、楽曲は同一のままサムネイルだけを変えた2本の動画を作成し、新規に用意した別々のYouTubeチャンネルで公開して、再生数や高評価数を比較するというもの。測定期間は5月11日19:00〜5月18日19:00(1週間)です。

サムネイルの効果を検証するために作った楽曲
サムネイルの効果を確かめるため曲を作った

 ボカロPなので楽曲はもちろん自作。データの偏りを避けるため、あえて“とがった曲”ではなく、王道でキャッチーなテイストに仕上げました。歌唱は初音ミクを起用。「最もメジャーでスタンダード」という理由からの選択だそうです。

 サムネイルは対照的な2種を用意。本気版は、ミクの髪色が映えるよう背景にピンクを配するなど、人目を引く工夫を随所に盛り込みました。一方の“即席バージョン”は、その名に恥じない清々しさ。白背景にササッと描かれたミクがぽつん……。影も装飾もゼロで「10秒のスピード感で描いたんだろうな」と一目でわかるサムネです。あまりの省エネっぷりに「逆に目を引くのでは?」と思ってしまう、潔い仕上がりとなっています。

およそ120時間かけて描いた「本気バージョン」のイラスト
色のバランスも考えて作り込んだ本気バージョン
10秒で描いた「適当バージョン」のイラスト
どうにかミクと分かる即席バージョン

 楽曲とイラストが仕上がったら、いよいよ動画&サムネ制作へ。本気版のサムネは、曲名ロゴの可読性や華やかさまで計算し尽くした設計。一方の“即席版”はというと……黒い文字で曲名をドン! と書いただけ。余白も演出も気合いもゼロで、画面の隅々から「適当ですけど何か?」というオーラがにじみ出ています。

動画編集ソフトで文字を入れた状態
即席バージョンは、使う文字もしっかり適当

 公開する2つのYouTubeチャンネルはアイコンとチャンネル名、動画タイトル、概要欄を統一。事前にSNSで告知はせず、サムネイル以外の条件を全てそろえました。

それぞれの動画を公開する2つのYouTubeチャンネル
よく見ると片方のハンドルは「@KuoniellWatson2」
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検証した結果……

 公開から1週間の集計では、即席バージョン151回、本気バージョン843回という結果に。初日は即席11回・本気15回と拮抗し「このまま企画が頓挫するのでは……」とKわとそんさんも頭を抱えたそうですが、その後は再生数に明確な開きが生まれ、最終的には数倍の差がつきました。

1週間が経過した時点での再生数と高評価数、コメント数、登録者数
コメント数や登録者数も本気バージョンの方が上回っている
両動画の1日目から7日目までの再生数の変遷
どんどん差が開いていった!

 YouTube Studioで詳細を確認すると、インプレッションは即席バージョン約3600回に対し、本気バージョンは約1万6000回。視聴者の内訳も差が出ており、即席版は日本を占めていた一方、本気版は海外からの視聴も獲得し、最も多いのは米国という結果でした。

 なお、即席バージョンが投稿されたYouTubeチャンネルは検証後に「Kわとそん2 / Kuoniell・Watson」と改名。記事執筆時点で即席バージョンの再生数は6万3000回、「Kわとそん / Kuoniell・Watson」で公開している本気バージョンの再生数は15万回を超えています。中身(曲)もちゃんと良かったからこそ、サムネが一押ししてくれたハッピーな“サムネ詐欺”といえるかもしれない検証になりましたね。

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検証結果に驚きの声

 この検証動画には「うっお、すんげぇ」「本気バージョンの海外ウケがいいのがあまりに解釈一致」「検証のために曲作れるのすげぇな」「これが全部ひとりでできる主の技術力に感服」「まず曲作りの才能がすごい 絵も上手い 企画も面白い」「技術力に感服」「なにかすごい人に出会った気がする」「平然とやってるのがかっこよすぎるよ」など、驚きの声が多数寄せられました。

 Kわとそんさんは、X(Twitter/@kuoniell_watson)も運営しており、今後もサムネイルや作曲の技術に磨きをかけて、YouTubeチャンネル「Kわとそん / Kuoniell・Watson」の方で楽曲・動画を投稿していくそうです。

動画提供:YouTubeチャンネル「Kわとそん / Kuoniell・Watson

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