ねとらぼ

【連載:サラリーマン、プリキュアを語る】今のプリキュアは子ども向け、大人向けの両輪が上手く回っている感じですね。

好調の要因①:「キミとアイドルプリキュア♪」の訴求力

 まず第1の要因は、放送中の「キミとアイドルプリキュア♪」が子どもたちに大きく受け入れられていることがあると思われます。

 「アイドル」というモチーフは「推し活」や「ごっこ遊び」との親和性も高く、玩具を通じて子どもたちが自分の「推し活」を楽しむスタイルが浸透しています。

 実際、作中での変身アイテムであり主力玩具の「キミとアイドル変身 アイドルハートブローチ」は、東京玩具人形協同組合が発表している「女の子玩具の売上月間ランキング」で発売から4カ月連続で1位を獲得。6~7月は追加キュア、キュアズキューンとキュアキッスのアイテム「キミとアイドル変身 キラキラショータイムマイク」が2カ月連続1位を獲得するなど、玩具面でも好調となっています。

女の子の玩具ランキング1位はずっとプリキュア関連

 さらに「キミとアイドルプリキュア♪」では作品テーマに合わせて「推し活」用の玩具も販売され、子どもたちに新しい価値観としての「推し活」の提示が行われています。

 また、同作はオンデマンド配信が定着し「CM」が見られなくなることへの対策としてか、アニメ本編中で玩具や関連商品を使用する場面も多く描かれることも特徴の一つとなっています。

 CMを見る機会が少なくなる中、アニメ本編中でのアイテムの活躍は大きな購買の訴求力になっているものと思われ、こういった描写はこの先のプリキュアのスタンダードになっていくことも予想されます。

アニメ内でも「玩具」が頻繁に描写される

 さらに名古屋を皮切りに開催されている「キミとアイドルプリキュア♪展~“キミ”と会える瞬間とき!~」などのイベント事業も好調で、子どもたちのファン層を盤石にしています。

 これら現行作品の強さが売り上げ増の一つの要因となっているとともに、全国各地で行われているキャラクターショーでは、現行のプリキュアだけではなく、プリキュアオールスターズや、過去作のプリキュアでのキャラクターショーも定着しつつあり、新旧のファンを取り込むことにも成功しています。

子どもたちに人気のズキューンキッスの玩具「キミとアイドル変身 キラキラショータイムマイク」(出典:Amazon.co.jp
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好調の要因② :大人ファンを巻き込む戦略

 2つめの要因として、大人ファンの獲得が挙げられます。

 最近のプリキュアは「子ども向け」だけではなく、「大人に向けた施策」にも力を入れてきているのです。

 2025年前半だけでも、コラボカフェ「GiGOコラボカフェふたりはプリキュアMax Heart」と「ぷちきゅあはじめてかふぇ」が開催され、「キミとアイドルプリキュア♪」とマリオンクレープとのコラボ、「魔法つかいプリキュア!!~MIRAI DAYS~」はROUND1とのコラボキャンペーンが行われるなど、各媒体でのコラボも活発に行われています。

マリオンクレープとのコラボ(著者撮影)

 また、7~8月にはライブハウスでのライブ「プリキュアシンガーズ Premium LIVE HOUSE Circuit!2025」を広島、大阪、横浜、名古屋の全国4都市で実施。3年目となった同公演も大盛況となったようです。

 毎年10月に行われている「プリキュアライブ」も9年目を迎え定着し、大人がプリキュアを楽しむことへの違和感も少なくなってきました。

 さらに注目すべきは、毎年、夏に開催されている東京池袋でのイベント「キミとアイドルプリキュア♪キラッキランラン♪フェスタ」です。

 このイベントは毎年恒例で夏に行われていますが、これまでは「お子さま主体のイベント」だったのが、今年は一部の時間帯で、特別に大人に向けた「ライトアップ公演」が実施され、この公演では大人も前方エリアで鑑賞できたり、オリジナルグッズの配布があったりと、初めて大人に向けた施策もとられました。

大人のお客様も、公演を前方エリアで鑑賞OK!
通常公演とは座席エリアの配置が変わり、大人の方でも前方エリアに行けるように!!

キミとアイドルプリキュア♪キラッキランラン♪フェスタ Webサイトより

 また、全国に常設展が4店舗ある「プリキュアプリティストア」を始め、各媒体で発売される缶バッジなどのグッズ類は現行作はもちろん、過去作も数多く展開し新旧のファンを取り込み、子ども向けとは別ラインの「大人も楽しめるプリキュア」も、売上を押し上げている要因の一つだと思われます。

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好調の要因③:新ラインの広がり

 さらに、プリキュアシリーズの最近の特徴として挙げられるのが「新ライン」の拡大です。

 キャラクター展開「ぷちきゅあ」や、大人向け施策としての「キボウノチカラ~オトナプリキュア’23」「魔法つかいプリキュア!!~MIRAI DAYS~」といった続編展開、男子高校生の舞台作品「『Dancing☆Starプリキュア』The Stage -」は好評につき3作目の公開が決定するなど、現行放送作以外の企画が充実してきています。

キャラクターグッズ展開の「ぷちきゅあ」(出典:Amazon.co.jp

 従来は「テレビ放送作品」と「オールスターズ展開」の2つが中心でしたが、今は多様な層に向けた複数のラインが同時進行し、それぞれにグッズ展開やイベント展開が行われ、確実に支持を得ているのです。

 子どもはもちろん大人、ライト層からコア層、出戻り組から新規層まで、幅広い世代層に向けた商品・イベントがそろい、これが全体の売上を押し上げる大きな力となっているものと思われます。

「魔法つかいプリキュア!」の続編も好評となりました
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だからこそ「大人のマナー」が大事に

 最近、プリキュアのイベントやショップに行くと、本当に大人のお客さまが増えてきていることを実感します。

 2023年の「プリキュア20周年」を機に大人、特に若い女性を取り組む施策をとった東映アニメーションの戦略が見事にはまった結果として今のプリキュアの売上好調があるのだと思われます。

 しかし大人ファンの増加とともに、最近はキャラショーやイベントでのお子さまへの配慮を欠いた鑑賞など「大人の鑑賞マナー」がSNS上でも問題になることが多くなってきました。

 プリキュアシリーズは大人向けの施策が増えてきているとはいえ、母体となるメインターゲットはあくまで「お子さまとファミリー」です。

 そこに留意し、お子さま、ファミリー層に迷惑をかけない様ルールやマナーを守り、それでいて“アツく”応援するのが「大人のプリキュア推し活」なのだと思います。

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